2018年04月19日

中古でも恋がしたい!(11)


著者:田尾典丈
出版社:GA文庫
中古でも恋がしたい!(11)

前巻読んでから、結構(半年以上)経っていたようです。
しばらく続いた修学旅行が終わり、家に戻った清一を待っていたのは、聖美お手製バレンタインチョコによる、過激な試食テロ。一口食べたら、意識が深淵の世界に堕ちていくというシロモノ。清一だけでなく、まわりの人間も巻き込まれることに…そのため「仲直りしろ。可及的速やかに!」と古都子たちに迫られることになります。そして関係改善の協力を約束されるのですが、相手はあの聖美。一筋縄でいくはずもなく。

ということで、今回は聖美回になっています。が、正直この妹、好きになれないんだよなあ。小説ですし、文章にない部分は想像するしかないのですが、いままでの描かれ方からすると、性格が極限まで悪い奴としか認識できないんです。仲がいいとか悪いとかといったことが、どうでもよくなるレベルでの罵り。人を人と思わない扱い。それでいて、他の人に見せる笑顔。もう存在自体がウザイとしかいいようのない人物。そんな聖美が中心となると…やっぱりウザかったです。なんで仲直りする必要があるんだ? という感想しか出てこない。最後まで読んでも、そんな感想しか持てなかった。11巻まで来て、初登場時の印象が変わっていないというのは、ある意味すごいですけどね。それ以外のヒロインは、かなり変わりましたからねえ。あのいけ好かないアコですら、少しはマシになっているんだし。

しかし、清一のモテようは、なんなんでしょう? 本来聖美の本心を探ることが目的だったはずなのに、イブ、古都子、優佳のいずれも清一を誘惑しようとしていて…どの子でもあっさり攻略できそうな状況が続いています。

今回も結末というには弱い状況。まだしばらく続きそうです。古都子・優佳・イブの3人(+聖美)だけがヒロインとして回るという、最近珍しい少数精鋭型。今後もヒロインは増えずに、このメンバーで着地点を探っていくのでしょうね。タイトルを大切にするのであれば、もう一度古都子に問題が発生するというのが、本命でしょうね。あ、大穴で才谷がヒロイン枠に進出ってのもあるかも。一応一番わかりやすく男女を判別することができる、例のブツは観測されていないので、現状「シュレディンガーのネコ」状態。そう、男性である確率は50%なんですよね。…まあ世界観からいって、それはないと思うんだけどなあ。あと、才谷は本当に男性だったけど、清一が選んだのは…という腐った展開。まあそれは腐った二次創作にまかせておきましょう。

★★☆
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2018年04月17日

無病息災な異世界ライフ


著者:大保志雄二
出版社:ダッシュエックス文庫
無病息災な異世界ライフ 〜研修医は現代医学でゆるっと治す〜

主人公は、研修医として日々疲れきっていた青年。ある日意識を失い、目が覚めた場所は、エルフの家だった。さらに年齢も若くなっていた。ということで、よくある異世界転生ものです。
転生した時にいた家には、エルフの少女・コリスが一人で住んでおり、鼻声・赤くなった頬、うるんだ瞳と実世界の人間に当てはめると、風邪と思われる症状でフラフラしていました。この世界での風邪の対処法は「時間が解決するさ」というもの。そこで、ルクトは医学知識を生かして、彼女の看病をします。今までの常識と違うルクトの言葉に興味を持つコリス。行き場のないルクトは、そのままコリスの家に住むことになります。ここまでは、うまく現代医学とフォンタジー世界をつないだなあと感心しており、ルクトとコリスの会話もテンポよくおもしろい作品だと期待ができる導入部でした。

その後、低血糖で倒れてしまったドワーフの少女や、起立性貧血のヴァンパイアの少女などを、現代以外知識で治療していきます。このあたりから、少し疑問が出てきます。ルクトは、異種族の彼女たちに対して、なんの迷いもなく(ロクな診察もせず)人間(それも日本人を中心とした)向けの治療・投薬を行っています。風邪で汗を拭くという行為はまあ種族が違っても人間型ならそうかな? と思えますし、低血糖で砂糖を食べさせるというのも、もともとこの世界に砂糖があったようなので、もし違っても大きな失敗にはならないかもしれない。でも鉄剤を投与するってのは、どうなんだろう? 種族が違えば、血液成分も違うかもしれない。そんなことも確かめずに鉄剤を投与するっては…そうなんです。この物語で最初に疑問になってくるのが「生態もわからず、検査もしない状況でよく投薬できるな」という一点。素人ならともかく、医療従事者だったら怖くてなかなかできないと思うんですけどね。目の前で倒れているから…というのは、現代社会では、ある程度対処法が確立しているから。そういう意味では、一番最後の症例が一番納得できないんですけどね。もう一つ疑問に思ったのが、ルクトがコリスと一緒に住むことになった際、一緒に市場に買い物に行き外食したときのエピソード。コリスの財布がカラになり、外食先で「きれいな」飾りがなくなっていた…つまりお金がなく装飾品を売り払ったということなんですが、このエピソードを見ると、コリスは裕福ではない模様。でも、以降のエピソードでは、お金に関する話題は一切出てきません。そもそもコリスがお金持っていなかったことに気がついても、ルクトはなにもせず寄生していたのかな?

ストーリー展開や会話劇は非常に面白いので、症例はあまりややこしいものにせず、かついろんな矛盾を解消していってもらいたいですね。もう少し楽しみにしていこうと思います。

★★★
posted by あにあむ at 13:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ダッシュエックス文庫

2018年04月12日

君のみそ汁の為なら、僕は億だって稼げるかもしれない


著者:えいちだ
出版社:電撃文庫
君のみそ汁の為なら、僕は億だって稼げるかもしれない

主人公は貧乏学生の翔。翔が通う金成学園では株式制度が導入され、生徒たちが自分で部費などを稼いでいる。「ホープ」は、学園内で流通する通貨であり、金額に相当する願いを叶えるという不思議な力がある。経済小説とファンタジーを足したような小説です。

翔が大好きな夢路さん・お味噌汁屋さんを経営に【16歳の誕生日を迎えたら結婚する】という願いが1億ホープでかけれらていることを知る。ホープでかけられた願いは、同額のホープで打ち消すことができる。タイムリミットまでの半年で、翔はなけなしの学費100万ホープを元手に、1億ホープを稼ぐことができるのか!

「君の味噌汁が飲みたい!」
というのが、全体のベースにあり、ラブコメとしてなかなか楽しい作りになっています。夢路さんの、微妙にズレた感性(半分分かっていて照れ隠しなのかと思ったら、どうもそれだけではなかった模様)とか、翔の一直線なところ。そしてそんな翔にかける友人の暑苦しさ。いいねえ。お金が絡んでいるので、純真ではないけれど、結局は夢路さんを巡る恋のさや当てってのもいいですね。友人の熟女趣味も突き抜けているし

ラノベの経済小説にしては、比較的経済活動に矛盾が少ないほうです(あくまでも少ないですけども) まあそこは、翔や登場人物の熱量で気にならないレベルにできるのですが、いかんせんツメが甘いところが多いんです。残念ながら、まだこれからの作者さんなのかなあ。翔への違和感が拭えないんです。これだけの経済知識を持っており、かつそれを実行するだけの行動力があるのに、なぜ食うに困るほどの貧乏に甘んじていたのか…財布を落としからとか理由付けがあったような気がするが、どうにも弱すぎる。またホープで願いが叶うという設定は、ファンタジーな要素を入れたかったんだろうけど、結局「金がある奴が正義」となってしまい、他の設定が意味なくなっている。だってたった1億ホープで、好きな人と結婚できるんでしょ、金があったら努力しなくなるよ。そりゃ。あと、学校の規模がよくわからん。いったい学生は何人いるんだ? チェーン店が150店舗とか、かなりの大都市(東京クラスか)だぞ。じゃあ、教師や職員はどれだけ? 工場労働者や農家は学生? そもそも授業はどうしているの? ホープの金銭対価も人が決めているようだけど、だとしたら忖度だらけになるのでは?もう設定穴だらけ。説明部分とストーリー部分の比率がおかしい。経済書じゃないんだから、もっとストーリー中心にしようよ。

確かに極貧の主人公のほうが、盛り上がるのは事実。でも、そうするんだったら、主人公が極貧である理由をかなりひねらないと違和感が残ったままになります。さらに茫洋とした主人公が、いきなり活躍するのは、違和感を通り越して嫌悪感すら覚えます。

いろいろこれからって感じでしたね。

★★
posted by あにあむ at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫