2017年09月06日

フリーライフ 異世界何でも屋奮闘記


著者:気がつけば毛玉
出版社:スニーカー文庫
フリーライフ 異世界何でも屋奮闘記

主人公は、異世界暮らし3年目の佐山貴大。何でも屋「フリーライフ」のぐーたら店主。毎日のんびり楽しく過ごせればいい(=働きたくない)という怠け者で、ごく平凡に見えますが、実は神すら倒せる世界最強レベルの実力者。怠け者だけど、困っている人をほっておけないお人好しでもあり、うっかり大活躍をしてしまい、どんどん目立ってしまって… 異世界スローライフの金字塔…ということなんですが、あまりスローライフじゃなかったなあ。いやそれが悪いという訳ではないです。もともとWeb小説で、それをラノベ仕様に大幅加筆修正されたそうですが、まあそんなことはWeb小説を読まない私には関係がない。ラノベとして楽しく読めるか、がすべてです。なのでWeb小説のお約束は、まったく気になりません。

貴大は異世界から召喚されてきたようですが、その部分はばっさり切り落とされています。新しい世界にきて、あれやこれや悩んでいたはずの部分は、無視され、異世界での生活が安定してきた3年後から物語がスタートしています。作者曰く「真ん中のおいしいことろだけ」ということですが、いいですね。読者がいろいろ想像できますし、楽しい趣向です。それも、キャラクターがしっかり描かれているからでしょうね。違和感がありませんでした。

ヒロインたちが魅力的なのもいいです。おしおきメイドさんのユミエル、まんぷく亭の看板娘・カオル、名門王立学園に通う大貴族の娘・フランソワなど個性的な女の子ばかりです。貴大の本当の能力を知っているのは、ユミエルだけのようですが、他の女の子も、貴大の優しさを通して「強さ」も理解しているようです。このあたりの描き方もうまいですね。さらにヒロインが、妖精・黒髪の少女・ロリ獣・お嬢様などバラエティに飛んでいるのも楽しいです。まったりと読める小説ですね。

★★★☆
posted by あにあむ at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | スニーカー文庫

2017年09月05日

美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!! (


著者:春日部タケル
出版社:スニーカー文庫
美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!! (

文芸編集者を目指していたはずが、なぜかラノベ編集部に配属されてしまった新人編集・黒川清純。編集部は、作家の下ネタ電話にいつも涙目な先輩、会社に住み込んでゲーム三昧な副編集長。編集長は失踪中…とんでもない部署に配属された清純。彼が文芸編集者を目指していた理由は「文芸書のほうが売れるから」ということ。ラノベは、読者層が薄く、大ヒットしても数万〜数十万部。文芸書はヒットしたら百万部を超える…ってことなんですが、この計算本当に合っているのだろうか? 出版不況の昨今、百万部超えの文芸書って年に数えるほどしかないと思われ、一方ラノベはスマッシュヒットがたくさん出ているような…まあ考え方ですけどね。

新人清純が担当させられた作家は、天才JK作家天花と絶賛スランプ中の兼業作家(といってもまだ10代)ひよこのふたり。天花は戦記ものでデビューし、大ヒットを飛ばしているのですが、次に書きたいのは「ラブコメ」。清純が先輩に連れられ、初めて天花と出会ったとき彼女は、スク水にブルマを穿き、ハゲづらで人形に「ここがええんか?」と絶賛セクハラ中…ラノベ作家にまともなヤツはいないのか! まあ彼女曰く、ラブコメ書くために痴漢される気持ちをシミュレーションしていたと…で
「そうだ 痴漢、されに行こう。」

………

これで姿がアレだったら、アレなんですが(自主規制)、彼女は非常に美少女。うーむ、世の中間違っていますね。

もう一人のヒロインは、クールビューティを装うドジッ娘。彼女は、完全にスランプに陥っており、そのままだと筆を折ってしまいそうな状況。清純は彼女を奮い立たせることができるのか?

ダブルヒロインです。で二人とも癖のあるヒロイン。さらに、スタート地点がマイナスという共通点もあります。一冊で二人とも成功させようとすると、かなり薄っぺらいものになりそうですし、ギャグは寒いし、前半は不安しかありませんでした。清純も無駄にラノベをdisるだけの存在でしたし… 中盤で清純の過去が明かされるあたりから、メリハリがきいて読みやすい作品に変化しています。この作者さん、あまりギャグに走らないほうが、本領発揮できるのではないでしょうか?

ただ、最後までダブルヒロインであることの意味は、見いだせませんでした。今回は天花回だと思うのですが、その割にはひよこの出番が多く、消化不良。ラブコメとしても、それぞれのヒロインとの関係性はうまく描かれているのですが、ヒロイン同士の関係性が乏しく、なんとなく相手にバレない二股現場を見せられているな気持ち悪さが残ります。

次巻以降で、関係性に変化が出てくるのでしょうが、文庫一冊のボリュームなら、ヒロインはどちらか一方にしたほうがおもしろかったかも。

★★★
posted by あにあむ at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | スニーカー文庫

2017年09月04日

俺と彼女の恋を超能力が邪魔している。


著者:助供珠樹
出版社:ガガガ文庫
俺と彼女の恋を超能力が邪魔している。

主人公は、男子校に通う伊藤大治郎。クラスでも、特に目立たない存在で、当然異性にモテるということもない平凡な少年。ある日父親からレンタルDVDを返却してきて欲しいと頼まれたことで、平凡な日常に変化が訪れます。レンタルビデオ店で、ひとりの少女から「会員証を持っていないので、代わりに借りて欲しい」「返却しないといけないので、また会って欲しい」とまさかの「逆ナン」されます。大治郎と少女は散歩友達となり、楽しい時間を過ごすようになります。ファミレスでパフェを食べさせあうとか、初心な恋人のような楽しいことも…でもなぜか少女が指定する時間は深夜ばかり。さらに触れていない物が動いたり、破裂したりと不可思議な現象も…
その少女・灰島小春は、幼い頃に特殊な力が覚醒した少女たちとともに世間から隔離され研究施設で暮らす超能力者で、夜な夜な施設を抜けだして、町を冒険するのを密かな楽しみにしていたのでした。

人と違う能力を持ってしまったがため、世間と切り離された生活を余儀なくされた少女とさえない高校生の物語。能力を秘密裏にするため、世間から切り離すというのは理解できる設定なのですが、切り離し方が非常に中途半端。また少女たちが、妙に世間慣れしているのも不思議です。またあっさりと施設を脱出・帰還できているのも不思議。本気で世間から切り離すつもりならば、離島に施設をおくとか、そもそも脱出できないように、施設を整えるのではないかな? という思いが強くて…この施設(学校)は、普通に町から見えているようですし、一般人が迷い込むことも普通にありそう。「お嬢様学校」という触れ込みにしても、同世代の少女しかいないのであれば、不自然ですし。

と、設定の安易さが目につく作品です。「小説だから」でそこに目をつぶっても、今度はなぜ小春が大治郎を選んだのか? といったラブコメの根源部分も描写が甘く最後まで分かりませんでした。登場人物同士の関係性をもう少し深く描写してもらえたら、面白く読めたのかもしれません。

★★
posted by あにあむ at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫