2017年01月19日

魔導少女に転生した俺の双剣が有能すぎる


著者:岩波零
出版社:MF文庫
魔導少女に転生した俺の双剣が有能すぎる

一流の剣士を目指す勇翔は、突如道場に現れた謎の男に瞬殺されます。しかし死んだはずの勇翔が目を覚ますと、そこは異世界で、二本の愛刀も陽奈と月華という美少女として転生していた。しかも、図書館に! なぜ図書館かというと、転生した世界がどのようなところかを、主人公たちが理解する理由付けなんでしょうね。なぜ異世界の文字が理解できるのか、といった点や、そもそも刀が美少女に転生したことをなぜ勇翔は受け入れられるのか?といった部分はすべて闇に葬り去られています。さらに、異世界での目的「自分を殺した人間が、同じ世界にいるので探し出して、仕返しをする」ということも、この図書館の中であっさり決まります。陽奈と月華は、魔法(この世界では、本来杖(と魔石)がないと魔法が使えないのに、彼女たちは発動体がなくとも魔法が使えるので、魔導と勝手に名乗る)が使えるのに、勇翔はまったく使えない… まずは魔法を勉強しようと、この世界の学校に入学をはかることに…って、どこの誰かわからないのに入学を許可する学校があるのか? という当然の疑問もスルー。勇翔は、失われた魔法により陽奈と月華という人造人間を生み出した。その二人を維持するのに、巨大な魔法が必要なため、現在魔法が使えないという無理矢理な設定で、なぜか入学が認められます。もうここまで、適当な設定にするんだったら、いっそ入学後から物語がスタートしたほうが、わかりやすいかも。

入学後も、お約束のように物語は進みます。陽奈と月華は、元愛刀ということもあり、勇翔にべた惚れ。いつでもウェルカム状態だし、登場するヒロインたちも、ことごとくチョロイン。この世界では、服も魔力により作り出されており、相手の魔力を封じるフィールドを展開することにより、自らも全裸になるだか、なにその設定。

最近、人間がモノに転生する話が増えているので、モノが人間に転生するってのが、少し新鮮ではありますね。ラブコメ部分は面白いので「なぜ」というのを笑い飛ばせる人であれば、楽しめる作品です。「なぜそうなる」と少しでも考えてしまうと、そこから先がまったく面白くなくなりますね。そういやこの作者さん「ゴミ箱から失礼します」の方ですよね。不条理ギャグがお好きなんですね。

★★★☆
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2017年01月14日

デスゲームから始めるMMOスローライフ


著者:草薙アキ
出版社:ファンタジア文庫
デスゲームから始めるMMOスローライフ 敵はいるけど、まず家作り

ログアウト不可、ゲームの死は現実の死という『デスゲーム』と化したMMORPG「サバイバルアーツ・オンライン」。その世界に取り残されたミナトが主人公。彼は、もともとゲームをまったりと楽しみたいということで、DIYというパッシブを選択していました。いろんなものを作り出せるけど、売り物になるほどではないという役に立つのかわかりにくいスキルで、もちろんデスゲームにはまったく不向きです。そのため攻略組からは「足手まといにしかならない」と拒絶され…普通ならボッチになりそうなのに、なぜか自称嫁・ココ、元最強の猫娘や死にたがりの妖精などが集まってきて、プチハーレム状態。彼らは、このデスゲームを乗り切ることができるのか?

ネット上の書評には、辛辣な意見がならんでいますね。一番多いのが「SAO」の二番煎じという意見かな? 私は元ネタ本を知らないので、その部分での違和感はまったくありませんでした。ただどうもこのVRMMORPGという考え方がなじまなくて、そちらの違和感のほうが強いですねえ。ゲームとはいえ、痛みや血臭が漂い、人や獣を切った感触が残る世界。現実世界の記憶や感性を残したまま、楽しむことなんて所詮無理なように思えます。少なくとも私には無理。

まあ、それはさておいて、作品のほうですが、ヒロインズが可愛いので、仮想世界ということを抜きにすれば(まあいわゆるファンタジーですね)、楽しむことができました。それだと設定の意味が皆無になってしまいますが…

ただ「白目をむく」という言葉が多用されているのは、気持ち悪いです。もともと「目を剥く」という慣用句から派生した言葉だと思うですが、どうもその使い方が。この作者が「白目をむく」でどういう心境を表したいのかが、わからない。最初は「白い目で見る」といった感じなのかな? と思っていたのですが、どうもそうではないらしい。ヒロインに抱きつかれて「白目をむ」いたら、それって気絶しているし… あまりにも多用されているので、なにか別の意味(MMRPG的な)があるのかと思ってしまいました。このあたりは、編集者さんが違和感感じないのかなあ。

それ以外は、続きが出たら読んでみようかなというものだったのですが、ラストで読む気が失せてしまいました。いや、最初から想定できましたよ。それ以外選択肢がないくらい。でも、1巻の終わりで明記することないのでは? 残念です。

★☆
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posted by あにあむ at 10:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジア文庫

2017年01月12日

いま、n回目のカノジョ


著者:小林がる
出版社:ファンタジア文庫
いま、n回目のカノジョ

主人公は、毎原和人。可愛い幼馴染みの詩音と楽しい高校生活を送っている普通の高校生…だけど、なぜか詩音のまわりでは、時間のループがよく発生する。それは五分から数週間といったもの。本来異常事態であるはずなんだけど、体感時間で二年分も経験すれば「ループに遭遇してもじたばたせずに、やり過ごせばいい」とい心境に達するものらしい。可愛い詩音も一緒だし…でも、転校生の神崎さんは全力でじたばたする人で…

ループがテーマの小説はよくあります。たいてい「悲劇」を未然に防ぐことが目的とされ、その結果は失敗(運命は変えられない)、もしくは成功しても代償を支払わされるという悲しいお話です。でもこの小説は、かなりゆるい日常系となっています。そのあたりが目新しく楽しいですね。

この世界でループを認識できているのは、和人と神崎の二人のみ。和人は、過去の経験からジタバタしても得るものはない。詩音に危険が及ばなければそれでいいという境地に達しています。なぜなら、ループ中に発生した出来事は、ループしてしまえば「なかったこと」になってしまうから。そう、その間に努力しても得られるものが少ない。さらに「やまない雨がない」ように、ほっておいてもループは終了する。しかも詩音と一緒にいられる。でも神崎は、その独特なコミュニケーション力のため、ぼっちのまま、むなしい時間を過ごすことになる。それが嫌でジタバタして、結局和人も巻き込んだ騒動に発展していきます。

前半は、盛り上がりもなく、詩音の敬語を使った話し方も相まって、キャラ同士が余所余所しく感じられます。神崎が引っかき回すようになり、二つ目のエピソードくらいから、うまい具合にストーリーが動き出し、どんどん面白くなり、詩音がどんどん可愛くなっていきます。スロースターターな作品ですね。導入部だけ読むと、駄作と決めつけていたかもしれません。

またラストの処理もいいですね。それまでの雰囲気を壊さず、なにも断定しないままのエンディング。それゆえ、全体がほわっとした暖かさに包まれています。後書きでは「2巻も出したい」と書かれていますが、この作品はここで終わるほうが、完成度が高いような気がします。続編がでたら、作品の完成度が下がってしまいそう。このまま、同じことを繰り返せるほど「日常系」ではないですし、かといって「ループ」の根源を突き詰めていってしまったら、最大の持ち味がなくなってしまいそう。
おもしろい作品なので、続きを読んでみたい気持ちも強いのですが、腹八分目のほうがよさそうです。

★★★☆
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posted by あにあむ at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジア文庫