2017年05月30日

りゅうおうのおしごと!(5)


著者:白鳥士郎
出版社:GA文庫
りゅうおうのおしごと!(5)

「アーロハ―♪」
ついに始まった八一の初防衛戦。最強の名人と闘うべき常夏の島を訪れる八一。そこには弟子や師匠まで着いてきており、一門(かぞく)旅行状態。さらに銀子と夜の街でデート。そんな一見リラックスした状態で始まった第一戦。八一は善戦するも名人に負けてしまいます。そんな中、あい・天衣・桂香のマイナビ本戦も始まり、戦いに次ぐ戦いの日々が訪れます。八一とあいは、お互いを想うあまり、お互い傷つき疲れ果て、絆すらバラバラになりかけます…それまで、あいの前で見せたことのない八一の焦り。それまでは「ロリ竜王」などと言われていても、気にもとめなかった八一。しかしあいは、自分がいることで八一の立場がどんどん悪くなっていると思い込みます。さらに銀子と八一の間もボロボロになり、さらに負け続ける八一。それまでの自らの将棋全てを否定されているような、極限状態に陥ります。世間は、名人の100回目のタイトル確保と国民栄誉賞で盛り上がり、八一は完全悪者扱い…そんな最低な状態におちいた八一を救ったのは、やはり将棋でした。それも桂香さん。

大切なものを思い出した八一は、再び闘う力を取り戻します。さらにばかっぷると化したあいと共に…もうはたから見ていたら「事後カップル」としか思えない八一とあい。そんな二人が向かった第四戦の会場は、あいの実家…そこにはあいの母による罠が待ち受けていました…竜王戦前夜祭は、まるであいと八一の結婚式のよう…部屋にはふとんが一組だけで、まくらは二つ。しかも一つはあいが実家で使っている枕…あいはまだ小四なんだけどねえ。けれどあいのことを一番わかっていたのは、やはり母親でした。八一はあいが母親に送ったメールを見せてもらい、さらに力を得ます。

そして始まった第四戦。将棋のことはわかりませんが、描写が無茶苦茶熱い! これほど過酷な競技だとは知りませんでした。再び竜は飛翔することができるのか?

もうこれがラストといった感じで、後半の盛り上がりは半端ありません。そして八一がいかに、暖かい人々に囲まれているのかがわかります。涙がとまらなくなる、そんなストーリーです。すごい作品としかいいようがない。将棋知らなくても十分楽しめます(私がそうです)いや、知らないほうが楽しめる作品かもしれません。

★★★★★
posted by あにあむ at 15:54| Comment(0) | TrackBack(0) | GA文庫

2017年05月29日

天使の3P!x9


著者:蒼山サグ
出版社:電撃文庫
天使の3P!x9

春休みになり、ライブハウスで短期アルバイトを始めることにした響。お小遣い稼ぎよりも、潤たちのバンド活動に役立つアイデアを学ぶため。そこで、オーディションの審査員を経験したりして、ノウハウを身に付けていき…

今回一番のインパクト(悪い意味)は、冒頭の
「いくわよ。第一回『実妹検定』、スタートっ!」
…くるみは、どんどん変な方向に進んでいることは理解していましたが、もう完全に壊れてしまっていますね。ここまでいくと、もう普通には戻れそうにありません。うーむ。

それはさておき、響は「演奏がうまいだけでは、客を集められない」という事実に気がつき、リアン・ド・ファミユの新たな「色」を模索するようになります。例によって、作者さんの「ヴィジュアル系好き」が色濃く出ているので、すべてに同意できたわけではないですが、ほぼ同認識をもてる内容でした。特に「チューニングができていないバンドはダメ」には大賛成。特にアコギだけのユニットでチューニングずれていたら、どれだけメロディがよくても聞いていられないですからねえ。

バンドだけで話は進まないのも、このシリーズの特徴。今回は貴龍たちの生まれ故郷で行われる神事がメインイベントになっています。そこで貴龍(小梅)がいろいろ画策するのですが、他の小学生ずたちによって妨害され…

「私でよければいつでも使って下さいっ」(五島潤)
「こら、希美を差し置いて何してるのよ」(紅葉谷希美)
「はむ……天使の事情は、複雑なのです」(金城そら)
「あと少しでひびきが私だけのモノに…」(尾城小梅)
「貴龍様、さすがに厚かましい気が……」(相ヶ江柚葉)
「また別の女にちょっかいだしたわね!」(貫井くるみ)

このセリフの中で、小梅と柚葉のみが、正しい意味で使っています。それ以外は、いろいろとわかっていないです(希美はわかっているような気もしますが)
さらに今回も桜花のターンがあります。カップルとしては、この二人が一番しっくりくるんですよね。一番初心な反応だし。最近大人な対応をしている桜花ですが、とある状況では、幼女のようになってしまいます。まあ相手が響だからだろうなと、むずかゆくなりそうなシーンの連続です。

ラブコメの行方はどうなるのでしょうね。シリーズ最初のほうでは、ロウきゅーぶのように、潤がメインヒロインで、幼馴染みは引き立て役かな? と思っていたのですが、ここ数巻は、桜花のおいこみがすごいです。響も「異性」という意味で「好き」という感情を持っているのは、いまのところ桜花だけのような気もしますし…

バンドのほうは、リアン・ド・ファミユの今後の展開に少し明かりが見えたところ。ただその「色」は長持ちしないよ、という心配もあります…

★★★☆
posted by あにあむ at 11:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫

2017年05月22日

異世界取材記


著者:田口仙年堂
出版社:ファンタジア文庫
異世界取材記 〜ライトノベルができるまで〜

主人公は中堅ラノベ作家。編集からのオーダーである「無双とハーレム」を体験するため、KADOKAWAが用意したルートで異世界取材へと赴く。ってなんのこっちゃ? 作品世界では、ラノベ作家は「実体験」をもとに作品を仕上げることが多いようで、異世界にも取材旅行に出かけるようです。さらに編集と闘うため、格闘技的にも強いようで… 若干(かなり)内輪受け要素の強い作品です。カクヨムに掲載されたものということで、従来作品とはテイストが異なります。

異世界取材は、ガイドも準備されており、獣人のアミューさんが案内してくれることになります。さらに異世界にきてすぐ、奴隷として売られそうになっていた、ラノベ作家志望のJKを助け、3人で取材を続けることになります。って、このJK最後のほうまで、名前が出てこないんですよね。どうやら童顔スレンダー(胸が)な少女のようですが、まわりからもJKとしか呼ばれておらず…

この異世界は、不思議なところで、なぜかスマホが普通に使えます。でも安全かというとそうではなく、モンスターに殺されたら現実世界でも死亡ですし、中には取材に行ったまま戻ってこない作家もいるようです。でも現実世界とのつながりが強いからか、孤高無双の勇者は中二病こじらせた少年だったり、ハーレム三昧の魔王の正体あ、後輩の売れっ子ラノベ作家だったりと、ファンタジーの世界なのか、現実世界での集団中二病なのか、よくわからない状況になっています。さらに実在の作家ネタも紛れ込んでいるようで、どこまでネタなのかよくわからないところも。一番弄りやすい編集は、もう完全にヤのつく自由業。編集部でなく事務所。社員じゃなく、構成員といった感じになっています。

この作品のいいところは、ヒロインが可愛いところ。アミューさんもかわいいですが、JKがいいですねえ。ラノベを熱く語れるJK。取材旅行の相方として、すごく重要な存在になっています。さらにラノベ作家が万能だけど、俺TUEEEな描かれ方していないのもいいですね。ラノベ作家だったら、誰でも「無双」「ハーレム王」だと読む方も疲れますが、そうじゃないところが面白いです。

異世界での食事は、想像するとダメですが「美しい」「おいしい」ってのは、確かに育った環境によって大きく変化する部分と、人間である以上変わらない部分の両方があるのでしょうね。

★★★☆
posted by あにあむ at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジア文庫