2017年01月26日

妹さえいればいい。(6)


著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(6)

もうこのシリーズも6巻なんですね。今回ストーリーに一つの区切りが付いています。すべてが完了したわけではなく、いろんな懸案の一つが動き出したという感じですけどね。
京から告白された伊月。そしてその京に告白した春斗。伊月の周りに集まる男女に、いきなり動きが出た前巻。今回は、その続きとなっています。さらに、伊月の作品のアニメ化という大きな波。いろいろな波に揉まれて、彼らはどのようになっていくのでしょうか?さらに千尋という爆弾はいつ爆発するのか?

いろいろややこしい告白関係になってしまった4人ですが、第三者的立場で言わせてもらうと、伊月−那由多、春斗−京とひっつけば、いいだけじゃないですか。このリア充メンバーたちめ。まあ、そうは言っても京が一番辛いのかもしれませんね。伊月を好きになる前だったら、普通に春斗の告白を受けて入れてそうですし、伊月と那由多が決定的にひっついてしまったら、それはそれであきらめがついたのかもしれないけど…人を好きになるのには、パワーが必要ですが、それを忘れるのには好きになった以上のパワーが必要なのかもしれません。

この突然の告白は、那由多にも影響します。それまでは、一見して余裕のある態度をとっていた彼女が、京のまっすぐさに憧れ、そしてそれを脅威と感じるようになり、いままで感性だけで小説を書いていたのに、メディアミックスにも進出して「頑張って、伊月を超える作家」になろうとします。一方伊月は、那由多のような作品が書けず「いつか横に並びたい」と思っているのですが…

今回は久しぶりにぷりけつが登場しています。で、春斗も巻き込んで箱根へ旅行に行っています。まあその章のタイトルは、とんでもないものになっているのですが、それはほっておきましょう。誰も特しない情報です。この旅行で、ピカソの作品に触れたぷりけつは、そのすごさに驚愕し、キュビズムに一気に目覚めます。パブロ・プリケツとして、画家の道を歩み出すぷりけつ。まあイラストレーターとしては「けつ好き」なのは、変わらないようですが。このピカソとの出会いは、ぷりけつにとって、もう一つの願い「最高のけつ」に再び巡り会うことを実現させるきっかけとなります。そう今回も千尋はズボンとぱんつを引きずり下ろされています。うーん、困ったものだ。

この作品を読んで思うのは、伊月たちは大人だなあということ。「好きなもの」と「求められるもの」の違いを飲み込んでおり、表だってディスられても、キレることなく、相手の可能性を認めることができるなど。すごいですね。

落ち着くかに見えたラブコメは、今回新たなヒロインが投入されたことにより、もう少し波乱がありそうです。京がんばれ!

★★★☆
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2016年11月01日

妹さえいればいい。(5)


著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(5)

今回メインヒロインは京。伊月の担当編集である土岐健次郎(趣味:風俗)の推薦でGF文庫編集部でアルバイトをすることになります。彼女を待ち受けていたのは、アルバイトというよりは、契約社員のような立場でした。初出勤早々問題児作家である那由多からの原稿回収を依頼されることに。さらには連日の飲み会、作家や編集者からの無茶ぶりに振り回される京。一方私生活でも、那由多の取材(全裸)、蚕のマンガモデル(全裸)ともう全裸になることにためらいがなくなっていますね。伊月の部屋に集う仲間たちとの人間関係に新たな段階が訪れます。男女二人ずつなので、うまくひっつけば問題がない訳ですがそこは人間の常、いろいろややこしいことになっており。

ということで「妹さえいればいい。」の5巻になります。今回妹=千尋は、ほとんど活躍しておりません。高校友人たちと海に遊びに行った(女の子として、全うに)シーンのみ。今回は京まわりが慌ただしくなってきているので、とりあえず一回お休みという形なのでしょうか。しかし伊月ってなにげにモテていますよね。本文に出てくるプロットなどは、どうしようもなく狂ったものですが、かなり天才肌のラノベ作家のようですしね。そのあたりに人を引きつける魅力があるのでしょうか? ついでにラノベの主人公らしく異性からの好意に鈍感ですし。京の好意ってダダ漏れだと思うんですけどねえ。今回は、その鈍感さが原因で物語が進むようになります。

しかし、ラノベ業界(作家や絵師)には変態しかいないのでしょうか? 出てくる人物に普通の人がいませんね。全裸でないと執筆できない那由多(そういや『桃音しおんのラノベ日記』でもしおんが全裸で執筆していたような)、下着愛が強すぎぱんつをカチューシャにしている蚕(今回、そのぱんつの出自も明かされます)。女性の尻にしか興味のないぷりけつ…どうなっているんだろう。困ったもんです。

ラブコメが一気に動いた今回。もしかするとラストスパートが始まったのかな?

★★★★
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2016年05月20日

妹さえいればいい。(4)


著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(4)

『妹のすべて』のアニメ化が決定し、さらにはコミック化も決まり絶好調の羽島伊月。コミカライズ担当に選ばれたのは、新人マンガ家・三国山蚕。彼女は、原作を愛しており、作画力もネーム力も完璧。それゆえ満場一致で決まったのですが、実はとんでもない秘密があり…結果、可児那由多や白川京まで巻き込んでの騒動となっていきます。相変わらず、一部を除き「弟」で通している千尋。いったいいつになったら、伊月は本当のことに気がつくのだ!

前回、作家仲間である春斗の作品がアニメ化されたものの、いろいろな巡り合わせから、どうしようもなく不出来なものになってしまい、メディアミックスを単純に喜べない現実に気がついています。そんな中、伊月の作品がアニメ化されることに。担当編集者は、今回のアニメ化が、最初から「妹のすべて」を対象とした企画ではなく、別作品の企画として動き出したものの、原作が突然人気を落としたため、同じ「ラブコメ」ということで、白羽の矢がたったものだということを打ち明けます。そのため、すでに「xx制作委員会」も出来ており、スタッフも決定している状況。つまり原作者の要望が「ほぼ通らない」環境であり、それでも「アニメ化に承諾するか」迫ります。

確かにスタッフが「原作を知らない」ということは多いようですね。今回何度も出てきている「原作レイプ」のように、原作のテーマすら替えてしまう場合もあるようで。コミカライズも同じ。というか、コミカライズされた作品って、原作のよさを消していることが多いように感じます。文章と絵というのは、相性が悪いのかな?

それはさておき、今回登場した三国山蚕。いままで登場したクリエイター達も大概「変」でしたが、彼女は、他を寄せ付けないほど変、いや変態ですね。見た目は清楚な女子大生ということですが…趣味趣向が偏っているのはいいとして、彼女の場合は現実と創造の世界が混在してしまっているんですよね。いやそのカチューシャはおかしいだろ! さらにテクニシャンなようで…

ラブコメとしては、さらに伊月と那由多の距離が近づいているようです。伊月がプライドを捨てられるか(そうすると伊月のよさも消えるかも知れないけど)爆発的な人気が出れば、そのままゴールインしそうですね。まあ那由多も、かなりヘタレなんで、現実にそのような状況になったらどうか…今回も伊月へのプレゼントに自らの裸体(や、あんなことをしている姿)を自撮したデータを渡そうとしましたが、伊月が開き直って強気に出たら、もうヘタレる、ヘタレる…その後、一人反省会と一人えっちしているようですが…

さらに前巻では、ひそかに一人えっちしている描写をされてしまった京は、今回はレズ3Pに巻き込まれたりして、というかこの人、一番ノリがいいのかも知れない。

果たして、伊月は順風満帆に作家生活を送っていくのでしょうか? 千尋の存在がキーになることは間違いないですけどね。

今回も、TRPGリプレイが挟まっています。これいらないんじゃないかなあ。ストーリーを分断してしまっていて、そこで一度冷めてしまうんですよね。いや正直出来のいいシナリオとは思えないので余計にね。

★★★
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2016年01月08日

妹さえいればいい。(3)



著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(3)
妹モノ小説ばかり書いている作家・羽島伊月は、原稿の締切・恋・家族など様々な悩みを抱えて日々を送っています。慌ただしい中も、それなりに落ち着いた日々を送っていたのですが、自作品のアニメ化レベルが原因で、大きなダメージを負った友人の作家・不破春斗から恋愛相談を受けたことで、大きく動き出していきます。

従来からバレバレだった、京と那由多の伊月に対する恋愛感情。まあ二人から同時に好かれている伊月な訳ですが、そこに春斗が参戦。といっても、怪しい方向に行く訳ではなく、普通な状況です。男女4人が一緒に生活(しているようなもんだな)していれば、こういったことは起こるのでしょうが……今回、伊月が自らの気持ちを吐露しています。その気持ちを考えると、伊月と春斗が共闘すれば、丸く収まる関係性でもあるのですが、そこはそううまくいかない。(昔「みゆき」は、結果的にうまくいっていたよな) そこに伊月の家庭の問題が絡んできて…一方刹那は「千年に一度のケツ」を探し続けており…って、なんか方向性が違うのが混じっていますね。

千尋の秘密は、どんどんバレていっており、、それがこれからどのように物語に影響していくのでしょうか? というか、伊月だけが気づいていないという設定は、かなり厳しいものがあります。家庭の問題があったとはいえ、少なくとも高校生になる今まで、定期的に逢っているんだし、それで気がつかないというのは、どうかと…

今回も作中作があります。でも、詳細は公開されず。那由多が書いた、京がヒロインなラノベ(というかポルノ?)。伊月似の主人公に、こんなことやあんなことをされるようなんですが、京は気に入ったようですね(^^; 耳年増な二人がなにやってんだか。

実は伊月が真面目だということもわかった今回。4人の人間関係は、どのように推移していくのでしょうか? 楽しみです。

★★★☆
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2015年10月13日

GJ部ういーくりー


著者:新木伸
出版社:ガガガ文庫
GJ部ういーくりー

すでに完結している(派生作品も)作品ですが、今更ながらのレビュー。実は、そもそもの「GJ部」は未読だったりします。そんな状態で楽しむことが出来るのか……

木造旧校舎の一室にある謎の部活「GJ部」 個性的な女の子たちが集まる謎部に入部してしまった平和的敗北主義者である四ノ宮京夜が主人公。今回の作品は、読売中高生新聞に連載された4コマ小説に描き下ろしコミックを掲載した「お買い得品」だそうです。

基本的には、本編にあったエピソードの補完になっているようですが、内容的に本編を知らなくても、十分に独特の世界観に入っていけます。前半のお話で、女性陣の説明がなされているので、キャラ迷子になる心配もなし。

なんせ四コマ小説と銘打たれるだけあって、ゆるふわなお話となっています。美少女たちに囲まれて、京夜がふわふわと平和的敗北主義を貫く、そんなお話です。

わずか4ページでも、起承転結を明確にして、キャラクターをしっかりさせれば「話」として十分成立するといういい例ですね。この長さ(短さ)だと、無駄な装飾がなくなり、読みやすいというメリットがあります。出勤時の電車移動など、長時間連続して時間がとれない時に便利ですね。ということで、元シリーズも今更ながら全巻そろえてみようかと。もしかしたら、出版社の思惑にまんまとはまったのかも知れません。

しかし、こたつさまが入ってからGJ部での京夜、うらやましいぞ。ちびっ娘(小三に見える)とはいえ、美少女な部長を膝の上にのせて、おいしい紅茶を美少女な後輩に入れてもらうなんて……さらに、部長が卒業後、「部長」と声をかけても返事をせず名前を呼ばせるのも、うーん青春。

★★★☆
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2015年10月02日

妹さえいればいい。(2)


著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(2)

妹バカラノベ作家・羽島伊月は「妹法大戦」の最終巻の執筆に苦しんでいました。気分転換のために、大学時代の友人・京たちとボードゲームをしたり、混浴温泉に入ったり、お月見をしたり、担当編集への言い訳メールを考えたりと、現実逃避しながらもなんとか頑張って作品を完成させていきます。悩みを抱えるのは伊月だけでなく、青春三冠王・白川京も、美少女作家・可児那由多も、ラノベ作家・不破春斗も、それぞれの悩みを抱えながら日常を過ごしています。恋模様もややこしいことになってきているようで……ビッチのように見せかけて実は純情処女の京。激しい愛情表現をするものの、実はおこちゃまな那由多。そこに春斗も巻き込まれてきて……

前回同様、ラノベ作家の「極端な」裏側も語られております。那由多は「全裸」でないと小説が書けない(少なくとも、ぱんつを脱がないと無理)とか…これって、どこかの小学生ラノベ作家がそういう登場をした作品があったような…

今回は、アニメ化の悲哀が描かれております。一生懸命創り上げた作品が「大人の事情」によって、どうしようもないアニメになってしまった…でも、作品に関係する人たちは、個々に見ると、皆夢に向かって必死であることには変わりはない… そういえば「アニメ作品と自分の作品はまったく別物だ」といった作家もいましたね。この作品では、私のような感想書きへの非難めいた表現も多いですね。まあそれはそうか……でも、エンターティメント作品は「評価がすべて」というのも事実です。だから辛い世界ですねえ。自らの書きたいものを書くのか、それとも受けを狙うのか? 難しい選択です。

今回、人外の妹が登場する作品のプロットが語られます。普通の人は「アウト」な作品ですが、伊月にとっては「ギリギリセーフ」……この人の妹Loveはどこへ向かっているのでしょうね。那由多も伊月を「おにいちゃん」と呼べば、あっさり伊月は陥落するんではないかい? ま、伊月たちが気がついていないだけで、身近にリアル「妹」がいるんですけどね…(作者さん、もう隠す気ないだろう)

次巻も楽しみですね。

★★★★
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2015年05月15日

妹さえいればいい。


著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。

「アマゾンレビューは貴様の日記帳ではない!」と荒ぶる小説家・羽島伊月が主人公。ラノベにしては珍しく成人男性の主人公です。彼の作風は、徹底的に妹を愛するというもの。究極の妹を創造するために、日夜奮闘しています。
彼の周りには、個性豊かな人々が集まっています。一番手は、初対面時に緊張のあまり伊月に向かって吐いた美少女作家・可児那由多。伊月の作品を愛するあまり、なぜか伊月にも猛烈な愛情をもつようになってしまった少女。その作家才能はとてつもないもので、彼女の作品を読んだ伊月がへこむほど。作品だけでなく、伊月に対する愛情表現も激しく、かなりストレートに伊月に迫ります。次に恋・友情・夢に悩む青春三冠王・白川京。彼女も、なぜか伊月に恋愛感情を抱いています。一見ビッチだけど、実はすごく純情な女子大生(酒好き)。表面上は、伊月と仲良くしている優しい男・不破春斗。その実、伊月に対して強烈なライバル意識を持っています。さらに人生をなめきった天才イラストレーター・ぷりけつ。さらには、編集者。土岐健次郎。最後に、どうみても美少女な伊月の弟。

基本は、伊月の部屋でストーリーが進むのですが、途中沖繩や北海道にも旅行に行きます。とはいえ、目立ったストーリーは特になく、登場人物たちの日常の悩みが語られていきます。

日常ラブコメというジャンルだそうです。あまり大きな物語の展開はなく、日常だけが描かれているのですが、その狭い世界で繰り広げられる人間関係が楽しいですね。ラストには、仕掛けもあり、続刊が楽しみです。

★★★☆
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2012年10月12日

人生


著者:川岸殴魚
出版社:ガガガ文庫
人生

主人公は、九文字学園第二新聞部に所属する赤松勇樹。部長である二階堂彩香から、人生相談コーナーの担当を命じられ、生徒達から寄せられた悩みに、理系女子・遠藤梨乃、文系女子・九条ふみ、体育会系女子・鈴木いくみの3人とともに、答えていくという短編連作の形をとっています。

本人たちは、至って真面目なようですが、予想の斜め上を行く珍回答が続出。その過程を会話劇形式で描いています。「生徒会」や「GJ部」の形式に近いのかな? 勇樹は女性にモテるタイプではないけど、不幸な環境にもいないというのが、ミソ。そのため、軽いノリの会話劇が楽しめるという仕掛けになっています。回答者3人が美少女という設定なので、今後ラブコメ要素も入るのかな?

三者三様の回答が、かみ合うことなく続いていくことが、ギャグになっているのですが、笑いのツボがわかりませんでした。あまりにもかみ合っていない会話(とも言えないな)が、空虚に感じてしまう部分が多々ありました。とはいえ、短編連作。中には妙にハマる部分もあったのは事実。

全体の評価としては、あまり高くありませんが、個別に見ると面白いところもありました。いまのところ、あまりパターン化していないので、自分に合うものが一つはあるかも、という楽しみ方がいいのかも。

★☆
タグ:★☆
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2012年09月06日

僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない(2)


著者:豊田功
出版社:ガガガ文庫
僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない(2)

鉄道には、さほど興味がないけど、旅先でおいしいものを食べるのが大好きという高校生栗原駿が主人公。旅先で出会った美少女 美優やくれあに振り回されながらも、鉄道旅行の楽しみを知った駿。偶然というか必然というか、美優とくれあは同じ学校の生徒だった。しかも旅先であったもう一人の美少女も同じ学校に転校してきて...

旅先で美優と仲良くなったと思っていた駿ですが、学校での美優は他人行儀。でも、外で会うと、すごくフレンドリー。その差が理解出来ない駿。このあたりは青春ですねえ。

今回の旅先は、江ノ電沿線ともう一つ。そこで幽霊騒動に遭遇して...時刻表を用いた謎解きや、駅を愛でるという鉄な要素もしっかり入っています。でも前巻に比べて、マニアックな部分がだいぶ薄められたように感じます。鉄目当てではなく、青春コメディを読みたいという願望にマッチする作品になってきました。鉄は、その彩りの一つ。西奥隆起さんの「カシオペアは北天に輝く―ちけっと・2・らいど! 」から、さらに鉄要素を減らして、ラブコメ要素を強くしたような作品。

どうやら次回も続きそうな感じです。さらにコメディ要素が強くなるのかな? 楽しみではあります。

★★★☆
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2012年05月10日

魔王が家賃を払ってくれない


著者:伊藤ヒロ
出版社:ガガガ文庫
魔王が家賃を払ってくれない

数日のうちに全世界を掌握しかけた「アーザ十四世」。しかしながら、勇者によってあっという間に、野望は潰えてしまった...そんな魔王が、なぜかボロアパートの一室でニートしている。しかも家賃を滞納しており、勇者の弟が家賃を取り立てることになるが...

という導入だったのですが、結局「家賃」は「現状貧乏」ということをいいたいだけの要素だったようです。最近のラノベは、いい加減なタイトルが多いのですが、これもその一つ。さらに悪いことに、伏線がはれない、拾えない。とりあえず「はやりモン」を並べておけば、いいだろうという姿勢が見え見え。著者が悪いのか、編集者のレベルが低いのか...「売れたら勝ちだろ!」という姿しか見えてきません。

設定は面白そうなんです。でも、いろんな要素が中途半端の投げっぱなし。前半は「ぱんつ」と連呼しているのですが、必然性がまったくない。しかも飽きたのか、途中からまったく触れなくなっている。

やはり私にガガガは合いません...

☆(地雷認定)
タグ: 地雷
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2012年03月21日

僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない


著者:豊田巧
出版社:ガガガ文庫
僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない

旅先で「おいしいものを食べること」にこだわりを持っている、高校生 栗原駿と、鉄子な女子高生(美少女)、北見美優と宮田くれあの二人組が主人公。駿が、夏休みに食を堪能するために、軽井沢で下車したところで、美少女にであり、なぜか二人に引き回されるように「鉄」な名所巡りをすることに...「鉄と萌えを合体してみました」という作品です。各キャラクタが、いずれも「どこかで見たような」というか、約束通りの行動をとっているという点では、一昔前の作品のよう。それでも、後半はかなり楽しむことが出来ました。「鉄子の旅」のように、描く側が鉄道趣味に悪意を持って描くのではなく、趣味の違う人には理解しがたいながらも「趣味」の一つとして描いているところもいいですね。
残念な部分は、導入部。主人公の成績の話が延々なされますが、その後のストーリーにまったく関係がないもの。妹の存在も、意味がわからない。もしかしたら、今後ストーリーに絡んでくるのかもしれませんが...

自分にとって、鬼門であるガガガ文庫作品にしては、面白い作品でした。

★★★
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2012年02月23日

灼熱の小早川さん


著者:田中ロミオ
出版社:ガガガ文庫
灼熱の小早川さん

主人公は「人間関係も勉強もそつなくこなし、万事如才ない高校生となった飯嶋直幸」ってことなんですが、私にはどうみても「人間関係をそつなく」こなしているようには見えませんでした。「空気を読む」というのを、悪い意味で使っているだけの情けない人間に過ぎないとさえ言えるかも。ヒロインの小早川千尋は、暴君で雰囲気を壊すKYとして描かれていますが、そのやり方はともかく「まとも」なのではないか? もっとも、彼女も二面性を持っており、そういう「キャラクター」を演じているだけのようですが...

とにもかくにも読後感の悪い小説です。同級生の言動、主人公の言動、ヒロインの言動、すべてがイライラさせられるもので、盛り上がりもまったくなく、見るべきところが、なにもなかった。「ヒロイン観察系ラブコメ」ということですが、観察も出来ていない。文章も幼稚で、面白みがない。

ガガガ文庫との相性が悪いのかな? どうもこのレーベルの小説で「面白い」と思えたものがない。 でもこの小説、人気が高いようです。なぜなんだろう?

タグ: 地雷
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2009年08月28日

神のみぞ知るセカイ―神と悪魔と天使


著者:有沢まみず
出版社:ガガガ文庫
神のみぞ知るセカイ―神と悪魔と天使

この本、著者名だけで購入しました。少年サンデーに連載されている、若木民喜さんのコミックのノベライズだそうです。って購入してから知りました。原作コミック見たことありません。という訳で、私にとっては大ハズレな一冊となってしまいました。

ギャルゲーの天才「落とし神」と呼ばれる桂馬が、悪魔少女エルシィとともに、心のスキに寄生する「駆け魂」を退治する話...簡単にいうとそういうことになります。その方法は、エルシィが「駆け魂」を持った少女を見つける(髪飾りが探知機)。桂馬がその少女を「落とす」。キスをする。心のスキマが埋まる。「駆け魂」の居所がなくなり、身体から出てくる。エルシィが退治する...という流れになります。

桂馬が非常識にギャルゲーの天才(同時に複数のギャルゲーを攻略など)なことや、駆け魂が桂馬と同年代の少女にしか寄生しないなどは、まあコミックや小説の設定として許容できます。心のスキマに忍び込むという設定もいいでしょう。でも「落としてキスをすれば」心のスキマが埋まるという設定は、受け入れられません。「バカにするな!」という感じがして...そんなに人間の心は単純じゃないぞと...

本書の中で、背景世界やキャラクターの背景が描かれていないことは、コミックのスピンアウト小説という出自を考えると、仕方がないことです。単体で読んだら薄っぺらくなってしまうのも、仕方ないでしょう。

それを考慮しても、小説としての出来はいいと思えません。有沢さんの他の小説と比べると、かなり出来が悪いといってもいいかも。コミックでいいものを、無理矢理小説にしてしまった...後書きで書かれている『もともとがギャルゲーを意識した作品だけに、文字媒体との親和性は高い』が真逆になったような感じを受けます。

どうも「ノベライズ」との相性が悪いなあ...

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2009年02月18日

人類は衰退しました


著者:田中ロミオ
出版社:ガガガ文庫
人類は衰退しました

作者の田中ロミオさんは、普段「ウィンドウズ用アプリケーションソフトに使用されるテキスト・データの作成」を生業とされているそうです。非常に回りくどい言い方で、たぶん分からないでしょうね。私も分かりませんでした。まあ、今はネットを探ればすぐに答えが見つかるのですが...とりあえず、この小説を楽しむためには不要な要素なので、ここではスルーします。

人類が種として衰退期(というか末期)を迎え、次世代として「妖精さん」が後を次いでいる時代の話となります。妖精さんが登場するということで、一見ファンタジーに見えるのですが、思った以上にSFしているとこともあります。

主人公は、人類最後の学校を卒業したところの少女。仕事として「畑仕事はしんどいから(この時代大半の人間は農作業をしている=文化が衰退している)楽で知的な仕事がしたいな」と選んだ「調停官」になったところ。もともとこの仕事は、新人類と旧人類の間で発生した軋轢を処理する大切な仕事だったようですが、旧人類が衰退した今となっては、意味のない仕事になっています。

主人公が生活する村では、食料事情はいいようですが、地域によっては食糧事情が悪いらしく、国連が「糖分補給」ということで、キャラメルやチョコを配給しているようです。新人類である、妖精さんは「食事」を必要としない。またどうやって増えるのか不明(性別がない?)ということで、闘争する理由がなく、非常にのんびりした文化を持っています。原始生活かというと、そうでもなく、とてつもない技術力を持っていたりもする不思議な種族です。

ストーリーは、主人公の目から見た「一人称」で進んでいきます。お菓子好き、驚くと丸くなる、おもらしするという妖精さんの特徴を少しずつ研究していくというもの。独特の文章と、妖精さんのどこかずれた会話で、全編を通してほんわかしたムードが漂っています。主人公と妖精さんのとぼけた会話を楽しめるストーリーです。子供の頃に読んだ児童文学のような感じです。

ここで「なぜ、人類は衰退したのか?」に論点をあててストーリーを展開させると、かなり暗い小説になっていたと思います。それをあえて外し「緩やかな種としての滅び」を受け入れた状態で話が進んでいるので、純粋にストーリーを楽しめます。

この本はライトノベルとして発刊されていますが、ライトノベルに縁がない世代が読んでも充分に面白い「SF小説」として完成されていますね。
すでに4巻まで発刊されているようで、続刊を読むのが楽しみです。

★★★
タグ:★★★
posted by あにあむ at 14:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫