2018年11月19日

妹が泣いてるんで帰ります。


著者:田尾典丈
出版社:MF文庫
妹が泣いてるんで帰ります。 〜兄がデスマーチに巻き込まれた時、妹が取るべき10の対策〜

主人公は、10組の兄妹。兄は全員、ゲーム関連会社勤務のクリエーターたち。大型SRPGの開発に携わっているメンバーが、能力のないディレクターの思いつきに振り回され、修羅場に堕ちていく姿と、そこから妹の力で抜け出す姿を描いた10編の短編集となっています。
最初は、ゲーム開発会社のディレクター兄妹のお話。順調に進んでいた大型SRPGの開発。発売直前になり、クライアントの気まぐれで音ゲーのミニゲーム追加をしなければならないことに…当然スケジュールはボロボロになります。「今更ミニゲーム追加だと!?人を修羅場に堕とす気か!!」と吠えてみるものの、受託開発側の悲哀で、どうしようもない…そのせいで、10人の兄(全員シスコン)は、愛する妹とふれあう時間もとれなくなってしまいます。

すべての短編が修羅場に追い込まれた(自爆型もありますが)兄たちが、愛する妹とふれあう時間をなくし、憔悴していき、最終的には妹が泣くことに。「お兄ちゃん…何時ぐらいに、帰れそう…?お仕事…頑張ってね…ぅっ」 最愛の妹の涙にお兄ちゃんたは「妹が泣いてるんで帰ります!」とすべてを投げ出して帰宅するというパターンが、全編に踏襲されています。まあ様式美ですね。

妹の性格や年齢もバラバラですし、兄たちの仕事内容や性格もバラバラ。そういった意味ではバラエティに富んでいると言えなくもないのですが、やはり「妹が泣いてるんで帰ります!」のパターンが10個続くと飽きてしまいますねえ。現実世界でも、気まぐれな「偉い人」はいますが、複数会社をまたがるようなプロジェクトだと、もう少し契約も厳しいのが現実じゃないかなあ。当初仕様から大きく変更する際のコストも負担してもらえないような契約は、そもそも最初から間違っているような…

サブタイトルの「兄がデスマーチに巻き込まれた時、妹が取るべき10の対策」からは、妹の策略を想起させられて、あまり作品にそぐわないですね。また、デスマーチとなっていますが、このプロジェクトはデスマーチ歩んでないですよ。工数(人月)を投入しても、破滅へ歩き続けるのがデスマーチプロジェクトと考えれば、このプロジェクトは「想定外」が発生しているだけで、結局手持ち工数で解決してますしね。さらに「妹が…」でそのタスクのキーパーソンが数時間〜1日休んでも、プロジェクト動いているし。開発会社のディレクターの腕(能力を冷静に見る目)があったからとも言えますが、この程度ならデスマーチプロジェクトと言えないのでは?

作者名で購入しましたが、ちと微妙でした。

★★
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posted by あにあむ at 11:14| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫
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