
著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(9)
相生初に続き、第15回新人賞受賞者たちの作品が次々刊行されていきます。那由多に憧れる笠松青菜の作品も出版されるのですが、そこに待っていたのは酷評の嵐でした。それまで自信満々だった彼女も、あまりの酷評に大きく落ち込みます。そんな彼女を見て、伊月は自分のデビュー当時のことを思い出し、励ましの言葉をかけます。そのことにより、青菜も伊月に懐くことになり、新たなライバルが登場することに。
一方、「妹のすべて」のアニメ制作でもトラブルが続出。一番大きいのは制作が逃げてしまったというもの。そのため、全13回(1クール)の作品を、12回に短縮し1回は「総集編」とする。それにより、伊月が一番嫌がっていた「オリジナル」展開にしないと、うまくまとまらないことに…当初と異なり、監督も妹愛に目覚め(実妹とお風呂に入るようになるくらい)ているので、状況は変わったとはいえ、悩む伊月。京は、就職活動で苦しみ、千尋の前には、お掃除ロボットではなく人間のライバルも登場します。
妹がさらに増えて、妹成分過多になってきたこの作品。このあと、どうなっていくのでしょう? いくらなんでも、妹多過ぎです。「さえいればいい」といいながら、「しかいない」になってきているような…毎回描かれる業界ネタは、スタッフ逃亡と出版界(担当)就活物語。クリエイターの資質によるのでしょうが、本当にこのような状況になっているとしたら、そら斜陽業界になるわなというのが本音ですね。忙しいというレベル越えた労働。しかもそこに「作品への愛」は残っていない。そんな描き方になっているので、エンターテイメント作品を見る(読む)のが辛くなってしまいます。この業界はxxだ。という話をよく聞きますが、それをあまり強調すると、そのこと自体が事態を悪いほうへ導いているような気がします。
せっかく、魅力的なヒロインが多いのですし、もう少しエンターテイメントとして楽しめる流れにして欲しいですね。
★★★