2018年04月17日

無病息災な異世界ライフ


著者:大保志雄二
出版社:ダッシュエックス文庫
無病息災な異世界ライフ 〜研修医は現代医学でゆるっと治す〜

主人公は、研修医として日々疲れきっていた青年。ある日意識を失い、目が覚めた場所は、エルフの家だった。さらに年齢も若くなっていた。ということで、よくある異世界転生ものです。
転生した時にいた家には、エルフの少女・コリスが一人で住んでおり、鼻声・赤くなった頬、うるんだ瞳と実世界の人間に当てはめると、風邪と思われる症状でフラフラしていました。この世界での風邪の対処法は「時間が解決するさ」というもの。そこで、ルクトは医学知識を生かして、彼女の看病をします。今までの常識と違うルクトの言葉に興味を持つコリス。行き場のないルクトは、そのままコリスの家に住むことになります。ここまでは、うまく現代医学とフォンタジー世界をつないだなあと感心しており、ルクトとコリスの会話もテンポよくおもしろい作品だと期待ができる導入部でした。

その後、低血糖で倒れてしまったドワーフの少女や、起立性貧血のヴァンパイアの少女などを、現代以外知識で治療していきます。このあたりから、少し疑問が出てきます。ルクトは、異種族の彼女たちに対して、なんの迷いもなく(ロクな診察もせず)人間(それも日本人を中心とした)向けの治療・投薬を行っています。風邪で汗を拭くという行為はまあ種族が違っても人間型ならそうかな? と思えますし、低血糖で砂糖を食べさせるというのも、もともとこの世界に砂糖があったようなので、もし違っても大きな失敗にはならないかもしれない。でも鉄剤を投与するってのは、どうなんだろう? 種族が違えば、血液成分も違うかもしれない。そんなことも確かめずに鉄剤を投与するっては…そうなんです。この物語で最初に疑問になってくるのが「生態もわからず、検査もしない状況でよく投薬できるな」という一点。素人ならともかく、医療従事者だったら怖くてなかなかできないと思うんですけどね。目の前で倒れているから…というのは、現代社会では、ある程度対処法が確立しているから。そういう意味では、一番最後の症例が一番納得できないんですけどね。もう一つ疑問に思ったのが、ルクトがコリスと一緒に住むことになった際、一緒に市場に買い物に行き外食したときのエピソード。コリスの財布がカラになり、外食先で「きれいな」飾りがなくなっていた…つまりお金がなく装飾品を売り払ったということなんですが、このエピソードを見ると、コリスは裕福ではない模様。でも、以降のエピソードでは、お金に関する話題は一切出てきません。そもそもコリスがお金持っていなかったことに気がついても、ルクトはなにもせず寄生していたのかな?

ストーリー展開や会話劇は非常に面白いので、症例はあまりややこしいものにせず、かついろんな矛盾を解消していってもらいたいですね。もう少し楽しみにしていこうと思います。

★★★
posted by あにあむ at 13:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ダッシュエックス文庫
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