2016年12月08日

幸せ二世帯同居計画


著者:五十嵐雄策
出版社:電撃文庫
幸せ二世帯同居計画 〜妖精さんのお話〜

主人公は、瀬尾兄妹。幼い頃に両親を亡くし、親戚の家をたらい回しにされ、そのどこにも自分たちの居所がなく、兄妹だけで生活をしようとアパートに移ったとたん、そのアパートが全財産とともに火事で燃えてしまい、公園でサバイバル生活を送っていました。さすがに小学生の女の子=妹をこのまま公園で寝泊まりさせるわけにはいかないと、近所に発見した空き家にこっそり移住することに。ところが空き家と思っていたその家には同級生の女の子・成瀬莉緒が一人で生活しており…ばれそうになった時、彼女が発したのは
「まさか……まさか、“妖精さん”!?」
という言葉。そしてなぜか彼女から妖精さんと勘違いされた二人は、彼女から隠れたまま奇妙な同居生活を始めることになります。そのうち彼女の悩みを知って…

妖精さんと女の子の「家族」としての絆を育てる暖かい物語です。妖精さんと莉緒の深夜のお茶会。なんだかほっこりしますね。いや、絵面的には女子高生と壁一枚隔てて、違法侵入者がいるわけですが。そこには殺伐としたものはなく、優しい空気が流れています。高校生が一人で住んでいる時点で気づくのですが、莉緒も恵まれた家庭とはいえない環境で育ってきました。そのため人間不信に陥っていたんですよね。でも育ててくれたおばあちゃんには心を開いており、そのおばあちゃんが聞かせれてくれた妖精さんの物語が心に残っており、深夜のお茶会が唯一心を開ける場所になったんでしょうね。この奇妙な同居生活には、さらにもう一名中学生・佐藤向日葵も加わり、瀬尾兄と3人の女の子(高校生・中学生・小学生)というハーレムのような家族ができあがり…。

五十嵐さんの作品なので、主人公はハイスペックです。小さい子にも懐かれます。いままでの作品(電撃文庫)に比べると、登場人物が背負っているものが重いのですが、暗さはなく、そこにはただ暖かい風だけが吹いています。ラストへ向かうエピソードでは、何度涙腺が緩くなったか…いつもの「ほんわか」ではなく「暖かい」気持ちになれる良作品でした。
「“妖精さん”はいつでもお前の味方なんだよ!」

★★★★
posted by あにあむ at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫
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