2016年10月18日

ヴァルハラの晩ご飯(2)


著者:三鏡一敏
出版社:電撃文庫
ヴァルハラの晩ご飯(2) 〜オオカミとベルセルクの野菜煮込み〜

主人公は日々ヴァルハラキッチンで「食材」になっているイノシシのセイ。彼は、日没とともに蘇生するという能力を持っているため、毎日食材にされる日々を過ごしています。冷静に考えると、毎日死ぬ恐怖があるのだからひどい話ですね。便利なのは、どれだけ身体が不調(外科的にも内科的にも)でも、生き返るとフレッシュな状態に戻っているということ。
前回世界樹を倒壊の危機から救ったことで、主神オーディンより英雄認定されたけど、待遇はまったく変わっていません。戦乙女9姉妹との距離が近くなった(気がする)ことが唯一のメリット。そんなある日、9女ロスヴァイセが、巨大なオオカミに変身する神技に失敗(理性を失って暴走してしまう)。そのショックで引きこもってしまいます。彼女に笑顔を取り戻すため、セイは一吠えで島一つを吹き飛ばすという魔狼・フェンリルに会いに行きます。彼は、ロスヴァイセの心を救うことができるのか?

今回もセイの活躍が描かれております。本来恐ろしい存在であるはずのフェンリルにも平気で話しかけるし、実はセイって神様より偉い存在なのではないかとの疑問も浮かんできます。まあ単純に、抜けているだけなのかもしれませんが。前回料理長に指摘されたセイにとっての地獄(食材にならずに死んでしまったら、英雄たちの食材がなくなってしまうので、日没で生き返ると同時に食材にされてしまう。そして、生き返るのは次の日の日没…食材にされるために生き返ることの繰り返し)を抜け出す機材・冷凍庫が登場します。これによって、セイの死体を保存しておくことで、その日はその肉を利用。生き返ったセイは一日生きることができるというもの。ってこれもつらいなあ。

さて本筋ですが、ロスヴァイセの件だけでも大変なのに、英雄たちに不穏が動きが出てきます。神々に認められた英雄とはいえ、いやそれ故、神々との間に上下関係が生じており、いろいろ鬱憤がたまるようです。人間ってやつは…ということですね。

この作品、セイの軽いノリがあるため、非常に読みやすくなっています。しかもどうやら戦乙女たち(特にブリュンヒルデとロスヴァイセ)は、セイを異性として見ているようでして、そのあたりのラブコメも楽しいことに。ラグナログに向かって、いろいろきな臭いことが起こっていますが、軽いノリは悪くありません。前巻同様「生命」という重いテーマを扱っていますが、ぞんざいに扱わず、かつ重くならない絶妙のバランスで描いているので良作です。もっと読みたくなる作品ですね。

★★★★☆
posted by あにあむ at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫
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