2016年10月11日

だからお兄ちゃんと呼ぶなって!


著者:桐山なると
出版社:ファミ通文庫
だからお兄ちゃんと呼ぶなって!

主人公・蓮杖アキが病室で目を覚ますところから、物語がスタート。そこには、息をのむような美少女が。その美少女が誰かだけでなく、自分が「誰」なのかすら思い出せない。そんな彼に美少女は萌々と名乗り、アキの妹だという。アキは事故に遭って、それから1週間ほど意識を失ったままだったらしい。診察した医者は「外傷性の逆行健忘」すなわち記憶喪失であると断言します。アキを待っていたのは、記憶を取り戻すためという理由で萌々から与えられる過剰なまでの妹の愛! 果たして…

すごく読後感が悪い作品です。主人公が記憶喪失。これはよくある設定です。で、妹のことすら忘れており、その妹に恋をしそうになる。まあありそうだね。この作品は、その妹が兄に対して、過剰なまでの愛を注ぎ、それ以上に事故前のアキ本人が、病的なまでのシスコンだったという設定がついています。スキンシップは当たり前。下手したらお風呂も一緒。部屋の壁や天井には妹の写真がぎっしり。そんな性格だから、学校では友人もおらず、完全に浮いた存在。いやそれ以上に嫌われていた模様。
で、事故後のアキは、すごく常識的な思考になっており、妹からの愛情に辟易としています。普通なら「まともになった」と喜ぶべきところですが、妹は「以前」に戻そうと必死になります。このあたりから「ズレ」が生じ始めます。そう妹が単なるブラコンではなく、非常に病的なものを抱えている(すでに心が壊れている)ことが浮き彫りにされ、アキが入院していた病院の院長も非常に怪しい。そもそも事故自体が仕組まれたものだったのではいか? 疑心暗鬼が募ります。それでも、ラブコメっぽいノリで進んでいくのですが、ラストで…

この作品は「萌々にゅん」とかラブコメ(バカ)臭がするものの、実際はサイコホラー作品です。だから読後感が悪いんだ。そういやこの作者さんの前作も一見ラブコメ、でも実は…って作品だったなあ。行き過ぎた愛情は、気持ちのいいものではありません。もう続編はいいや。

★★
posted by あにあむ at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/177216722

この記事へのトラックバック