2016年05月17日

ヴァルハラの晩ご飯 〜イノシシとドラゴンの串料理〜


著者:三鏡一敏
出版社:電撃文庫
ヴァルハラの晩ご飯 〜イノシシとドラゴンの串料理〜

神の国の台所「ヴァルハラキッチン」で働くイノシシ・セイ(本名は、セーフリームニル)は、主神オーディン直々の指名によってスタッフになった。料理するのではなく「料理される側」として…

北欧神話をベースとしたストーリーとなっています。闘いの中で散った勇者たちが、ヴァルキューレ(戦乙女)の導きによって集う場所=ヴァルハラ。じゃあ来たるべき闘いに備える勇者たちの「空腹」は、どのようにして満たされているのか? そんなニッチな所に視点をおいたことがこの作品の特徴。ありきたりな北欧神話を面白いものに替えています。

さらにセイの特殊能力「一日一回生き返る」を利用した「毎日死んでご飯になれ」という命令。これも、それだけだとまさしく「ブラック企業」。でもセイの独特の性格のおかげで、ギャグにしつつ、かつ「生命」も十分に大切に描かれています。さらにイノシシ一匹だと量が知れているのでは? という疑問には「料理したらその日のうちは、食材が減らない鍋」を登場させることで解決。ギャグのようでいて、抜け目有りません。

このセイくん。ほんといい性格しています。もちろん毎日死ぬというとんでもない恐怖と戦っているのですが、それ以上にヴァルキューレ9姉妹たち(特にブリュンヒルデ)への対応が、欲望剥き出しで面白い。どうもブリュンヒルデたちも、セイのことを「食材」ではなく「異性」としてみている部分もあるようで…可愛い女性がイノシシ(ウリボウ)を撫でる。「ああ動物好きなのね」で済むシーンも、セイの独白によって妖しいシーンになっていたり…どうも神界では、種族の違いというのは些細なもののようです。ま、そうでないとイノシシが人間の姿をした戦乙女に欲情しないですね。

会話の軽妙さをベースにしたストーリー。今回登場していないヴァルキューレや神様もたくさんいます。彼ら(彼女ら)と、どのような会話劇が進んでいくのか非常に楽しみですね。

★★★★
posted by あにあむ at 11:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫
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