2019年04月10日

それでも僕は、モブキャラが好き(2)


著者:氷高悠
出版社:講談社ラノベ文庫
それでも僕は、モブキャラが好き(2)

前巻で、モブキャラ・佐由梨とカップル成立したオタク・諒介。諒介は、他人に優しいという長所がありますが、それは短所にもなる…

佐由梨たちの入部により、廃部の危機を乗り越えた「すみマン」の平和な日々。永遠に続くかと思われた日々は、文化祭が近づいたある日に、幽霊部員状態だった、現団長である佐倉川真音先輩がふらりと姿を現したことで崩れ去ります。真音は、現役女子高生マンガ家として活躍しており、マンガに集中するため、すみマンから遠ざかっていました。彼女が幽霊部員になった経緯を理解している諒介は、真音の復帰を喜びますが、新しいメンバーである佐由梨たちにとっては、異分子であり、諒介に団長職を押しつけている「わがままな人」と認識されます。さらにいえば、彼女が諒介に好意を抱いていることを、感じ取って、余計に攻撃的な対応をとります。真音が再び現れた目的は何なのか? 諒介と佐由梨の関係はどうなっていくのか? 「今を大切にする」のか「未来を大切にするのか」という青春の悩みが描かれています。

真音の目的は、諒介に自分の作品を手伝って欲しいというもの。それだけならば、問題は起こらなかったのですが、彼女が諒介に突きつけたのは「プロ漫画家のレベルまで引き上げてあげるから、すみマンは辞めること」…つまり「いま」ではなく「未来」を取るようにということです。それに対し、他メンバーは各様の態度をとります。自分が「して欲しいこと」を相手に言えない、諒介と佐由梨…その関係性が崩れていきそうになります。前回は、ギャルとオタクの対立でしたが、今回は青春の悩みがメイン。優しさは時に人を傷つけるということですね。このような葛藤は青春時代の特権なのかもしれません。成人してからは、様々なしがらみによって、選択肢が狭まりますからね。青春時代(特に高校の頃)は、選択肢が無数にあり、それを選ぶことで、傷つき傷つけあいます。そんなピュアな姿が描かれており、好感が持てます。

★★★☆
posted by あにあむ at 15:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 講談社ラノベ文庫