2019年02月04日

キマジメ大魔王の清く正しい学園生活


著者:佐藤了
出版社:ダッシュエックス文庫
キマジメ大魔王の清く正しい学園生活

主人公は、きっちり七三に分けられた髪にきらりと光る眼鏡な魔王・悠真。好きな言葉は「誠心誠意」、座右の銘は「一日一善」という、学園一真面目な生徒。彼と同じ日に転校(転入)してきたのは、血気盛んな勇者・リザ。初日に、悠真に決闘を挑んで返り討ちに遭い、周囲を顧みない言動にクラスで浮いた存在に。そんなリザに救いの手を差し伸べたのは、悠真…大魔王に同情された勇者の行く末は…

『世界の危機はめくるめく!』の作者ですね。なので、魔王や勇者が持っている能力は、どこか冗談みたいなものだと思っていたら、まさしくその通りでした。勇者のほうが、うっとしいのは、少し前の流行ですね。もともと勇者は、正義感を大上段に構えて行動するので、うっとしいのは事実だと思いますが、日本では某RPGで、勇者一行様は一般家庭のタンスを勝手に開けたりということを繰り返していたから、余計魔王のほうが「まとも」と思われるようになったんでしょうね。

それはともかく、一見一般人に見える悠真も、それまで魔王として育てられていたため、一部常識(というか感情)が欠如しています。それは「恋愛」に関するもの。普通なら、一番そういったことに興味を持つ年代のはずなのに、まったく無反応。クラスメイトの下着姿を見ても、特に驚かない。「女の子の裸に興味があるか」と聞かれたら、どちらかというと、その健康度やなどが気になるだけの模様。一方勇者は、知識として「恋愛」は持っているものの「ピンチの時に颯爽と助けてくれる王子様」を理想とする、夢見がちな少女のまま。でも、彼女の理想をつきつめていくと、魔王がドンピシャの人だったりして…最初は反発していたリザですが、悠真の勇気と優しさに少しずつ心を開いていきます。そこに立ちはだかるのは、唐変木悠真…だけでなくクラスメイト2名。中立的立場のサクラと合わせ、悠真対策会議を開いて、どうやって振り向かせるか恋バナに興じます。

メインヒロインではないのですが、サクラが雰囲気を作っていますね。リザたちだけだと、かなり殺伐としたヒロインになり、そこに唐変木と、話が進まない未来しか見えません。そこにサクラが入ることにより、うまく物語が転がっています。他のクラスメイトたちは、その存在価値がいまいちわからないのですが、これから先物語に絡んでくるのでしょうか? 解決していない問題が山積みなままなので、もう少し続いていくのでしょうね。
★★★
posted by あにあむ at 14:40| Comment(2) | TrackBack(0) | ダッシュエックス文庫

じゅっさいのおよめさん


著者:三門鉄狼
出版社:講談社ラノベ文庫
じゅっさいのおよめさん

主人公・倉敷誠二が終業式を終えて家に帰ると、家の前に十歳くらいの見ず知らずの少女が座り込んでいた。その子から「わたしはせいじのおよめさん!」と言われてしまいます。そんな約束をした覚えもない誠二ですが、とりあえず部屋に招き入れることに。少女は誠二のことを分かっているようですが、誠二は少女のことを知らない…追い出そうする誠二に対して、少女はうまく立場を利用して(ご時世から事案コース一直線)、一緒にお風呂入ったり、一緒に寝たりと、奇妙な新婚生活が始まります。そんな新婚生活を続けていくうちに、彼女の正体がクラスメイトの御殿山みのりであることが判明します。突然その姿になっていたということで、その理由はわからない(というか教えない)。彼女の秘密を探っていくうちに、ある伝説にたどり着き…

タイトルから想像した、ふわふわラブコメではありませんでした。とある理由により、幼くなってしまったクラスメイトとの奇妙な新婚生活が描かれます。誠二も基本いい人なのですが、みのりの正体(というか、なぜ幼くなったのか)が分かるまでの流れは、少々疲れました。あまりにもみのりが正体不明すぎて、それに流される誠二もよくわからず…みのりがクラスメイトと分かったあとも、誠二が一方的に意識するだけで、みのりが平気にしていることなど…みのりが幼くなった原因が判明して、すべてがつながりました。結構後半になってからだったので、少しもったいないかなあ。2巻以降も続くのであればいいのかもしれませんが、この巻だけで考えると、もう少し早い目に正体がわかったほうが、感情移入しやすかったかも。

みのりが10歳にしては、幼く感じる点については、誠二目線で理由分析がなされており、違和感はなかったですね。逆にいえば、その説明がなければ、実年齢とのギャップがあったでしょう。懐かしい感じになりました。ラストまで、みのりの可愛さがあって読みやすくて、面白かったです。サブキャラの槇村さきも、ストーリー上重要な役回りで、しっかり描かれていて、そのおおらかさが物語の雰囲気を優しいものにしています。結構重い設定もあるのですが、それを優しさでうまく包んでいます。

★★★
posted by あにあむ at 14:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 講談社ラノベ文庫