2018年04月02日

14歳とイラストレーター(4)


著者:むらさきゆきや
出版社:MF文庫
14歳とイラストレーター(4)

悠斗が姉の京橋彩華と競っていた頃、小倉まりぃの新作イラストレーターとして、ネットで人気の絵師「白砂」が抜擢されます。所属する絵師クラスタの仲間に祝福されても「べつに商業が初めてってわけじゃないし?ふつーでしょ」と余裕を見せていたのですが、何度もボツにされ困惑します。なぜボツになるのかがわからず、袋小路に迷い込んでしまっているのですが、仲間にそのことを打ち明けることができません。白砂はどうするのか?
前回は、すでにプロになっている姉弟対決が描かれました。どちらもプロとして実績があるので、イラストに込める想いといったものが語られていましたが、今回は「絵のうまい素人」と「プロのイラストレーター」の違いが、ある意味冷酷に描かれています。白砂は、ネット世界では名の知れた絵師。そのプライドがあったのですが、プロの世界はテクニックだけでは語れない「何が」があるようで、その「何か」がつかめず四苦八苦しています。そこで、まりぃの別シリーズのイラストを描いている悠斗を訪ねてきます。悠斗は白砂にアドバイスすることになりますが、聞いておきながら最初は心を開こうとしない白砂。しかしそこはラノベ主人公属性のある悠斗。大切なことを彼女に教え、ついでに落としてしまったような気もします。

すべてを捨ててでも、その世界で生きていく決意があるか? 非常に重い決断が必要な事項です。すべての事象が「二択の世界」になっているとは思いません。Yes/No以外の回答があることも多々。でも「どちらも」という回答は、難しいんですよね。今回白砂は絵師クラスタの仲間と「仕事」を天秤にかけることになりました。本当の友人というのは、相手の状況を理解して、相手を高めることによって自分も成長していくもの。それができない人は友人ではない…言葉にしたら簡単ですけど、現実ではなかなかねえ。

もう一つ、イラストレーターとしての悠斗の心得も描かれました。それは「作品を好きになること」 これは本当にそう思います。「ビジネス」として描かれたイラストは、うわべだけなぞっているだけで、印象に残りません。その作品・人物を好き(場合によっては嫌い)という気持ちが入っていると、文章に溶け込んでくれます。さらに商用の場合は、見た人が楽しい(悲しい)という気持ちを想起させる「なにか」が必要なんでしょうね。
少し真面目な話が続きましたが、しっかりラブコメしてますし、楽しい作品であることは間違いありません。しかし悠斗と乃々香の関係は、恋人というより長年寄り添った夫婦のようになってきましたね。乃々香の両親も登場させて欲しいな。あともう一組。ナスさんとハラミさん。いや、なんかもうこの組み合わせでいいんじゃない? そのほうがナスさん、幸せになれるような気がする。

★★★★
posted by あにあむ at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫

異世界ギルド飯(2)


著者:白石新
出版社:GA文庫
異世界ギルド飯(2) 〜魔王とおでんと自衛隊〜

「腕によりをかけて作ってやるさ!」ギルドの地下食堂は本日も大繁盛。店主とチートな客が飯テロを連発!?カラアゲ&マヨネーズ、茹で&焼きズワイガニ、超高級日本酒&イカの塩辛、コーネリアの創作料理、トンカツ定食、心まで温まるおでんなどなど、みんな大好きな日本食が異世界を救う!? ということで、異世界冒険者ギルドの地下にある食堂の主人が主人公な、日本食無双物語。日本酒も登場しています。どうも獺祭のような気がするのですが、どうなんだろうなあ。それを「日本酒の最高峰」とか言われるの、私は嫌です。ってなことはおいといて、今回、店主の生い立ちと貯蔵庫の秘密が明かされます。なぜ、日本食なのか? 仕入れはどうなっているのか? などですね。

コーネリアが本来の目的「魔王として世界を滅ぼす」をどうするかが、今回のテーマになっています。カツカレーを食べるだけの少女ではなく、魔王としての本来の姿との葛藤が描かれています。でも、まあそこはこの作品のゆるさで、あまり深刻になっていないんですけどね。

異世界と現代世界は時間の進み方が違うようです。異世界の10年が現代世界の数日(?)くらいの感覚。まあそうしないと、設定に矛盾が生じるんでしょうね。異世界のほうが時間の立ち方が早いってのは、お約束ですから。

店主の生い立ちについては、さらに謎が深まったような気がします。…というか、矛盾を出さないよう無理矢理つじつま合わせしているような。ゆるいお話なんだから、いっそ「謎」のままにしてくれたほうが、楽しめたのかもしれません。本来メインテーマであるはずの、コーネリアの葛藤が妙に軽く扱われていますからねえ。

サブタイトルの自衛隊…別にいらんような気がする。もう少し面白くなるかと思っていたのですが、結局盛り上がりやまとまりに欠けたまま…ラストも端折りすぎで盛り上がらなかったし…「生徒会」や「GJ部」みたいに、ゆるく長く続けるのか、短くはじけるのか…そのどちらもできないままでした。少々残念な結果になっていますね。

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posted by あにあむ at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | GA文庫