2018年03月02日

うちの聖女さまは腹黒すぎだろ。


著者:上野遊
出版社:電撃文庫
うちの聖女さまは腹黒すぎだろ。

タイトル以外は面白い作品です。
主人公は、落ちこぼれ騎士志望のカイ。いろんな国に仕官要望を出すものの、ことごとく「お祈り」されてしまう日々を過ごしていました。そんな中、辺境にある国・ブラウファルト聖王国から「採用したい」と連絡があります。カイが知るブラウファルトは、代々清らかなる聖女が治める静閑な国。「聖女様の騎士になれる!」と舞い上がるカイ。そこに待ち受けていたのは、見た目は天使な聖女・フローラ姫。なんとすでに騎士団はなく、彼は姫様付きの財務担当官僚として雇われることに。フローラが命じたのは「自分のお小遣いを稼げ」というもの。確かに、この命令だけを見ると「ブラック」ではありますが…

まずはタイトルへの文句。「腹黒」ってのは、表面はともかく、裏でなにを考えているのか分からない人であって、フローラのような人のことをいう言葉ではないです。実際、カイには、最初から高圧的に出ていますし、後半になって明かされるフローラの本心は、もう純白そのもの。なのでタイトルを信じていると「どこでフローラが裏切るんだ?」と疑心暗鬼になってしまいます。が、そんなことはまったくありません。素直になれないだけの、純真なお姫様です。

まあそうでなければ、いくら象徴的存在としても、国民から慕われることないですよね。決して裕福ではない(有り体にいえば貧乏)な国なんですから普通なら、為政者はもっと糾弾されそうなもの。少なくとも、政治の現場では…そこでも慕われているようですし、腹黒なところは全くないですね。

姫様ラブなメイドのリーリエも、この手の小説にしては、まともですね。口絵の紹介だと、もっと壊れた人かと思いましたが、至極まとも。姫様が好きなのは間違いないですが、特にカイに対して、なにかするわけでもない。わかりやすく嫉妬するだけ。こちらは、もう少し、暴れさせたほうが面白くなったような気もします。

ストーリーとしては、最初は義務感(強制力)で仕事をしていたカイが、いろんな要因で生命の危機に陥り、姫様の素直になれないところを見抜けず、爆発。それをリーリエがうまく取り持ち、そこからは本気で姫様のために頑張るというものです。カイが騎士道を見つける過程が描かれたラブコメですね。テンポも悪くないので、読みやすいです。本当タイトルさえ、まともだったら、もっと楽しめたのに…

重ねていいます。タイトルにだまされてはいけません。純粋にラブコメとカイたちの成長を楽しめばいい作品です。

★★☆
posted by あにあむ at 11:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫