2017年05月15日

クソゲー・オンライン(仮) 3


著者:つちせ八十八
出版社:MF文庫
クソゲー・オンライン(仮) 3「このクソゲーが現実だと私だけが知っている」

バグにより「妊娠」してしまったアズラエル。ササラキは、アズラエルはVR世界とはいえ、好きでもない人の子供を産むのは嫌と思い、なんとかしようとする。でもアズラエルは、どうも「絶対嫌」というのでもないようで…そのあたりの機微にササラキが気がつければ、ここまでこじれていなかったんでしょうけどね。結局、さらなるバグにより、二人お子供は生まれてきます。それも10歳程度の娘として…さらにバグで、名前がとんでもないことになっており(考えるために、登録し削除したはずのものが、まったく削除されていなかった)ややこしいことになりますが、結局キサラという名前で落ち着きます。

天使のような(実際に天使の属性を持っている)キサラですが、なぜかこの仮想世界はゲームなどではない、現実なのだ!と強く主張しています。「キサラが生まれた世界はクソゲーなんかじゃないのです!みんな邪悪なる運営に騙されているのです!」…いや「運営」がある時点で現実じゃないんですけどね。もちろん、ゲーマーたちは、誰も信じませんが(どこにも信じる要素がない)、運営が邪悪という点には同意。「じゃあ運営VSプレイヤーのイベントを開催して盛り上げましょう」「悪魔だね僕たち」という流れで、運営Vsプレイヤーのイベントが勃発。果たして、AIと人間はわかりあうことができるのか?

キサラがいい子すぎて、切なくなります。冷静に考えたら、いきなり10歳程度の身体に生まれてきて、両親の見た目からすれば、自分は何歳の時の子供だ? という話になりますよね。それでも「この世界は現実」と言い張る彼女。その理由を考えると、すごく切ない。さらに、両親が望んで生まれてきた訳ではなく「間違いで」生まれてしまったと知ってしまい、でも二人のことは大好きで…

この世界はクソゲーなんかじゃない! と伝えてあげたいですね。しかし、アズラエルとササラキ。もうくっついてしまったほうがいいんじゃないかい?

★★★☆
posted by あにあむ at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫

キラプリおじさんと幼女先輩


著者:岩沢藍
出版社:電撃文庫
キラプリおじさんと幼女先輩

主人公は高校生・黒崎翔吾。女児向けアイドルアーケードゲーム「キラプリ」に情熱を注いでいます。当然友人は少ないと思われますが、それなりのコミュニケーション能力はあるようです。彼が住んでいるのは、田舎町(山口県下関市近辺と思われ)で、街のゲームセンターには、キラプリが1台しか設置されていません。しかし、それ故少しのめり込むとトップランカーになれるということで…ある日、突如現れた小学生・新島千鶴によって、あっさり奪われてしまい…「俺の庭を荒らしやがって」「なにか文句ある?」 と、小学生と同レベルで張り合う翔吾。昔なら近所のお兄ちゃんとの交流ですんだことが、最近は大変なご時世。それでも翔吾は、1台しかない筐体のプレイ権をかけて、千鶴と対立を続けるうちに、連帯感のようなものも出てきて… そんな二人に最大の試練が…クリスマス限定アイテムをとるためには、おともだちとの二人プレイが必須。素直になれない二人に襲いかかる現実。さてどうなるのか?

ということで、おおきなおともだちとちいさなおともだちの交流を描いた作品になっています。翔吾が女児向けアーケードゲームにのめり込むオタクとして描かれるであれば、案外スムーズに物語が進んだと思われます。しかし翔吾も千鶴も、いろいろあった過去のせいで、とんがっているため、衝突が続いています。当初ゲームセンターでは、翔吾の友人もいなかったこともあり、千鶴は翔吾を自分と同じ「寂しい人」と思い込み、そこに親近感を抱くようになったようです。ところが幼馴染みが翔吾をクラスのパーティに強引に連れ出したことから、翔吾にさえ裏切られたと思い込むようになります。

ゲームが主体になっていますが、実は年齢を超えた淡い恋心というのが裏にあり、それが物語に深みを与えています。ただストーリー内の書き方では、幼馴染みが身勝手に見えてしまうのが残念。翔吾のことを思うというより「世間常識と離れた人が許せない」だけというふうに見えてしまいます。それがなかったら、年齢差ラブコメにもできそうなんですけどねえ。

★★
タグ:★★
posted by あにあむ at 09:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫