2017年02月20日

《ハローワーク・ギルド》へようこそ!


著者:小林三六九
出版社:電撃文庫
《ハローワーク・ギルド》へようこそ!

主人公は、とある事情で<ハローワーク・ギルド>の事務員となったキール。この世界では、魔族との戦争が終結してしばし経っており、基本平和。目下の課題は「お仕事」。この世界の職業は、15歳までに「職才」が決定し(神からのお告げ)基本的にその職才に従って仕事を選ぶようです。RPGでいうところのスキルのようなものですかね。「基本的」ということで、職才と異なる職業に就く人もいれば、職才を15歳までに告げられない人もいる。後者だと、就職が難しいとのこと。厳しい世界ですねえ。そんな人たちの転職相談の場が<ハローワーク・ギルド> キールの最初のお客様は騎士をやめたい女騎士でした。騎士の職才持ちで、騎士としては能力が高いのですが、それ以外はまったく才能なし。キールが紹介するメイドさんやウェイトレスは、持って一日。下手すると半日以内に首になってしまう。本人はやる気もあり、人も悪くないけど仕事ぶりが…あまりにも首になり続けるので「とりあえず臨時雇い=アルバイトから」ということで、気がつけばギルドに居着いていたり。それ以外にもスランプに苦しむ錬金術師の少女。歌手になりたかったシスターなど。なぜかお客様は女の子ばかり。なのでラブコメ要素もばっちり。

てっきりRPG世界で、転職を司るギルドの物語と思っていたのですが、職才という設定以外は、人生相談所ですね。どれも本人にとっては、人生がかかった悩みなのですが、端から見ていると、どことなくのんびりしたものばかり。基本いい人が多いので、読んでいて楽しいですね。この手の作品は、ネタが続く限りどこまでも続けられると思うのですが、この作品は、ラストで伏線を一気に回収してしまっているので、続刊は難しそうです。

★★★☆
posted by あにあむ at 14:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫

魔力ゼロの俺には、魔法剣姫最強の学園を支配できない……と思った?(2)


著者:刈野ミカタ
出版社:MF文庫J
魔力ゼロの俺には、魔法剣姫最強の学園を支配できない……と思った?(2)

「神霊魔剣」を操る貴族の乙女のみが可読むグランディスレイン魔法学園。そこに強引に入学した魔力ゼロにして唯一の男・ユーベルは、元序列一位の最強魔法剣姫で現使用人のティリ、妹のリリアと同棲し、敵対していたツンデレ魔法剣姫・アディリシアまで落とし、順調にハーレムを形成していた。次のターゲットを探していた彼の前に現れたのは、学園最大姫閥「桜花夜会:の主にして絶対秘密主義のアンリエット。どのように落とすのか?

「愛は偉大、超便利、マジ効率いい」が座右の銘であるユーベルは、次々に魔法剣姫を落としていきます。それも魔法や剣なしで…先を読む能力と、たぐいまれなる観察眼で、相手の懐に簡単に入り込み、一瞬にして虜にしてしまう。彼の目的は「この学園・この国のすべてを俺のハーレムにしたら世界超平和、俺超幸せ!」というもの。普通に考えたら、たとえハーレムを構築できても、その中を平和にするのは難しいんですけどね。ユーベルは、魔力がないだけで、それ以外の能力はチート級になっています。この手の小説の常として、俺TUEEEE度はどんどん高くなってきています。病的ブラコン・リリアの病気度も上がってきています。その二人が組んで、剣姫を落としていくのですが、そりゃどうしようもないですね。

今回アンリエットをおびき出すために、アディリシアをうまく利用します。わざと人通りの多い場所で「あーん」してもらうことで、アディリシアが「落ちた」ことを周知。っていうか、アディリシアって、かなりチョロインですよね。このシーンでも、最初は拒んでいるのですが、ティリやリリアにあっさり流され…もう見事なまでのテンプレツンデレになっています。

今回、いままであまり自分の意思を表に出さなかったティリが、自己主張をするようになってきています。ハーレムが幸せになりきれない理由である「独占欲」が出てきているんですね。今のところ、かわいらしいものですが、これから先どのように折り合いをつけていくのでしょうか?

今回、かなりひきのラストになっています。この流れだと、今までのゆるーいストーリーじゃなくなってしまうのかな? もしそうだとしたら残念ですねえ。この作品はゆるーいまま、進んで欲しいです。

★★★
posted by あにあむ at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫

勇者のセガレ


著者:和ヶ原聡司
出版社:電撃文庫
勇者のセガレ

主人公は、所沢市の一般的家庭・剣崎家の長男康雄。両親と妹の4人暮らしという平凡な一家だった。ところが、金髪美少女ディアネイズ・クローネことディアナが、異世界から剣崎家のリビングにやってきたことで、平穏な日常は崩れ去ります。当初は、自分自身にゲームのような展開が降りかかると思った康雄ですが、
「私は救世の勇者、ヒデオ・ケンザキ召喚の使者としてやってきました」
召喚対象は父親で、しかも若い頃異世界を救った勇者でした。どう見ても普通の中年のおっさんが「勇者」だったと信じられず、ディアナは「勇者の息子」である康雄に憧れのまなざしを向けてきて、妹は白い目で睨んでくるし…異世界の平和以前に家庭の平和が大ピンチに陥って…

あらすじだけ読むと、コメディのようですが、実際はかなり重苦しい作品になっています。最大の理由は、主人公・康雄の態度。父親が「勇者」で、しかも異世界へ新たな闘いに赴く…当然死んでしまうかもしれない…それを「息子」として心配して反対しているのであれば、理解できたと思います。でも彼の反対の仕方は、どう見ても自己中心的。ディアナへの対応も、単純に自分のイラつきをぶつけているだけのようで…さらに妹の主人公に対する態度も冷たすぎ。正直「この家庭、もとから壊れていたんじゃないか」という感じしか受けません。たぶん、作者は本当は、お互いを思いやっている兄妹だとか、家族愛というのを描きたかったのでしょうが、大失敗していますね。特に前半は読むに値しないくらい崩壊していました。後半になると、康雄が少しずつまともになってきて、妹の態度もわかりやすくなり、ディアナにとって守るべきもの、康雄にとって守るべきものが明確になり、おもしろくなってきます。戦闘シーンにもギャグが入るようになり、コメディとしても一気に盛り上がっていきます。ただ今度は登場人物をうまく使えていない。康雄の中学時代の友人(?)も、ラブコメ枠に入ってきそうで、その手前でウロウロ。もったいないですね。

続編があるのかもしれませんが、ちょっともういいかな。別作品に期待といった感じですね。

★☆
posted by あにあむ at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫