2016年11月25日

近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係


著者:久遠侑
出版社:ファミ通文庫
近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係

母と二人で暮らす家で、遠い親戚の女の子・和泉里奈と同居することになった坂本健一が主人公。里奈の控えめな性格や気遣い、女子校育ちの無防備さは、健一に初めて「性」を意識させる存在となった。同じ十七歳の女子と一つ屋根の下で生活していることを友人たちに隠そうとした健一だが、幼馴染みの森由梨子に知られてしまう。それが原因で、距離感にも変化がもたらされ…

ラノベレーベルから発売されていますが、内容はラブコメではなく、恋愛ストーリーですね。できれば、こういう小説は別レーベルにしていただきたい。ラブコメとして読むと、肩すかしをくらうので…

健一は、友人は少ないもののサッカー部でレギュラーのようですし、マネージャーとして幼馴染みの由梨子が近くにいるなど、実は恵まれた存在。だからこそ、いままで異性を意識することがなかったのでしょう。そこに里奈という異分子が投入され、さざ波が広がっていく。そんな日常が描かれています。

他の書評などでは評価が高く「切ない」「心がキュンとする」などのコメントが並んでいます。が私にはそう感じられませんでした。なぜだろう? と考えてみると、この作品の文体が原因のようです。一つ一つのセンテンスが非常に短く切れており、余韻がないんです。さらに文末が「…た」「…だ」ばかりで、リズムもなくなってしまっている。こういう叙情的な作品の場合、特に文末には気をつけて欲しいなというのが正直な感想。青春時代を描いた名作と呼ばれる作品たちは、文末を工夫することで余韻を残し、それによって心にしみこんできます。この作品はそれがないんです。

★☆
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天使の3P!x8


著者:蒼山サグ
出版社:電撃文庫
天使の3P!x8

前巻が短編集だったので、本編は久しぶりですね。
今回は冬のイベントが続々登場します。まずは初詣、そしてバレンタインさらには雪山スキー旅行。当然温泉付き。いつもに比べると、桜花が活躍していたような。響をめぐるラブコメは、普通に考えると桜花の圧勝のはずなんですが、残念なところがあるので、他の小学生ずにも可能性は残ったままです。

まずは初詣。ラブコメでの定番といえば晴れ着の裾がとか、みんなとはぐれて二人きりというものですが、この作品は予想の斜め上を行っております。和服の時には下着をつけないという話を信じ込んで、まあそういうことです。で、それを言い出したのが桜花ということで、彼女をかばうために響が言った一言が小学生ずにとんだハキチガエを起こさせ、大変なことが発生します。

次にバレンタイン。こちらも桜花が残念なことになっており、ヘタレな性格と響の鈍さのせいで、響との関係にヒビが…小学生ずによってなんとか修復してもらいますが、最後まで桜花はヘタれたままでした。

雪山スキー旅行は、万馬券をあてた桜花のバイト先のパン屋のおじさんからのプレゼント。初めて新幹線に乗る響は、小学生ず以上に張り切り、潤は初体験となるスキーに恐怖心を持って旅行を楽しみます。温泉旅館ということで、当然なシーンもあり、男湯に間違って入る潤。さらに桜花まで… 結構響って、らっきーすけべ多いですよね。

本筋の音楽では、リアンドファミユの集客力が落ちてきており、もう一段階上を目指そうと響がいろいろ考えております。このあたりは、いまいち理解しにくいなあ。まあ作者さんの趣味(ビジュアル系バンド好き)が色濃く出ているから仕方ないのでしょうが。

スポーツと異なり、勝敗がはっきりしない音楽の世界。どこへ向かっていくのでしょう。
★★★☆
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2016年11月21日

アキハバラ∧デンパトウ


著者:藍上陸
出版社:GA文庫
アキハバラ∧デンパトウ

Amazon公式あらすじ
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「キミが、タカハシ、くん?」秋葉原にある「新東京多目的電波塔」に叔父の紹介で引っ越すことになった高橋(浪人)は、そこで「異世界の勇者」と出会う―。電波塔の最上階にあるマンションの住人は「異世界の勇者」と自称するマンガ家少女、ペンネをはじめ、着ぐるみの天才美少女、昭和文化オタクの女子大生、筋肉オヤジ等々、おかしな連中ばかり…。そこでチロとあだ名をつけられた高橋だったが、彼は叔父から地上げのため、住人の秘密を探れという命令を受けていた…。藍上陸×れい亜が贈る、秋葉原のマンションを舞台とした、新感覚デンパ系コメディ!
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このあらすじ見た時は、おもしろいと思ったんです。…でも実態は超弩級地雷でした。結局10-20ページ読んだところで、我慢できずにゴミ箱へシュート! なにが悪いかというと、すべてが悪いのですが、まず文体が変。読者に読んでもらおうという気持ちがまったく見られない駄文というか、単語の羅列。「一筋縄ではいかない住民」を表現しようとしているのだろうけど、なにがいいたいのかさっぱりわからない。この本、最後まで読み通す人は、かなり我慢強い人なんだろうな。いや、それとも普通の人には理解できない、なにか重要な「暗号」が隠されているのだろうか?
地雷はたまにあたりますが、ここまでの地雷は本当久しぶりですね。たいてい「レーベルが違えば」「もっと突き抜けていれば」という含みをもった地雷なんですが、これはもうどうしようもない。作者ごとNGということで。

タグ: 地雷
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2016年11月17日

妹=絶滅したのです


著者:八奈川景晶
出版社:ファンタジア文庫
妹=絶滅したのです

いつの間にか妹が生まれなくなった世界。つまり男が生まれると、次に女が生まれない世界。その事実に気がついた時、世界は…特に騒動にならなかった。なぜなら女の子がまったく生まれない訳ではなく、男の子の次に女の子が生まれないだけで、男女比は変わらなかったから…なるほど…って、これおかしいですよね? 絶滅したのは「お兄ちゃん」であって「妹」ではない。だって、女の子の次に女の子は普通に生まれる訳だから姉妹は存在する訳ですよね。まあんなことどうでもいい作品なんですが。

主人公は、そんな時代になぜか兄妹として生まれた勇巳と伊織。世界で唯一の「実妹」である伊織と、至って平穏な日々を過ごしていた。ところがある日突然「お兄ちゃんというものに甘えてみたいのだ。だから抱きしめて」「…お願い、早くなでなでして!」「さぁ、新しい妹とお風呂に入りましょう?」と妹が増えてしまいます。それは桐原一刀総帥・桐原久遠、須賀沢財閥総帥・須賀沢瀬理、トリヤード王国第一王女・テレサトライヤードという超高スペックな美少女たち。お兄ちゃんにあこがれる彼女たちは、お兄ちゃんに甘えるため、勇巳を狙います。それが普通の甘え方なら、ある意味ハーレムなんですが、久遠は刀で脅す。瀬理はお金にものをいわせ、テレサは軍事力と政治力を利用と超わがままなお嬢様方ばかり。またややこしいのは、勇巳はお姉さんにあこがれており、伊織はそれに気づいており、兄に気に入られたいため「お姉さん」になろうとする。さらに3人は、全員お姉さん好きにはストライクな容姿。兄妹の生活はどうなるのか?

いろいろ設定をややこしくしていますが、基本はテンプレなラブコメです。特になにか大きな陰謀があるわけでもなく、兄妹を復活させるために行動する訳でもなく、突然ハーレム状態になった兄と「実妹は自分だけ」と嫉妬する妹を巻き込んだラブコメです。話が流れるように進むので、読み疲れはしませんが、なにか残る部分がある作品かというとそうではありません。肩の力を抜いて、妹を楽しむべきですね。せいいっぱい背伸びしている伊織を愛でるというのが一番ではないでしょうか? しかし彼女の兄コントロール術はすごいですねえ。一緒にお風呂に入るのは恥ずかしくないのに、裸を見られるのは恥ずかしい。このあたりも難しいですな。

★★
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2016年11月16日

中古でも恋がしたい!(7)


著者:田尾典丈
出版社:GA文庫
中古でも恋がしたい!(7)

引き続き文化祭が舞台となっています。
初日は、優佳の校内放送を使って亜恋が古都子を陥れようとしましたが、今回もその陰謀が続いています。しかも陰湿さが増しており、読んでいて気持ち悪くなります。自分の周りにこんなやつがいなくてよかったと思わせる存在です。なぜ古都子を恨むようになったのかについては、明確になっていませんが、こんな奴だし、どうせ自分勝手な思い込みなのでしょう。「青春とは、両刃の剣を目にもとまらない早さで振り回しているようなもの」と某シンガーソングライターが言っていましたが、確かに知らないうちに誰かを傷つけたり、傷つけられたりというのはよくあること。でも治りが早いのも、青春の特徴。亜恋たちの粘着の仕方は、少し普通じゃないですね。そう考えると、なぜそんな亜恋に清一は恋心を抱いたのか? 彼の人間観察力からすると不思議です。

今回もコミケネタは健在。メイドカフェの客捌きをコミケ方式で実施ということですが、これって別にコミケ独特のものではないですからね。

前巻の最後で優佳に告白された清一。積極的に攻めてくる優佳に押され気味ですが、これからどうなっていくのでしょう? 一巻の清一だと「なぜ彼にそれだけ惹かれる」という感じでしたが、本気を出した清一は、ラノベ主人公の基準ということで、かなり高スペックです。運動能力・頭の回転いずれをとっても、トップレベル。なんでしょうね。

亜恋が登場してから、面白さが半減している本シリーズ。まだまだ登場してきそうな雰囲気があります。これから先、どんどん陰湿になっていきそうで嫌ですね。今回の出来事はいっそ警察沙汰になったほうがよかったような。それでも結果は一緒かな?こういうタイプは、なにしても勝手に恨むだけだから、どうしようもないのかもしれませんね。すでに病んでしまっているのでしょう。

清一の過去が少しずつ明かされてきています。妹がなぜ清一に暴言を吐くようになったのか? そのあたりももう少しで明かされそうですね。ラブコメの行方とともに楽しみです。

★★☆
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2016年11月11日

ヴァルハラの晩ご飯(3)


著者:三鏡一敏
出版社:電撃文庫
ヴァルハラの晩ご飯(3) 〜金冠鳥と仔鹿のグリル〜

エインヘリヤルたちによるヴァルハラの動乱も落ち着いて、平和な日々が戻ってきました。しかしながら、その動乱によってエインヘリヤルたちには通称「ラタトゥイユの刑」が課せられ、肉が一切禁止。そのためセイの「晩ご飯」になるという仕事がなくなってしまいます。一時的なものとはいえ、暇になったセイはヴァルキリー姉妹を頼り、代わりの仕事を探します。そんな時、セイの前に強敵が現れ…それはヴァルハラ大農園を管理する鹿のイクス。セイのことを「お師匠様」と慕ってくれるのはいいけど、それ以上に別のあこがれが…思わずおしりを気にするセイ。ラノベでは珍しいBLな展開になるのか?
いや、彼が強敵なのはセイのおしりの危機という訳ではなく、食材として。セイに弟子入りしたことにより、彼も晩ご飯になるのですが、それを食べたオーディン様が「ンまぁ〜い」と大絶賛。そのため、セイは晩ご飯を首になってしまいます…存在意義がなくなる。それ以上にブリュンヒルデに会えなくなる…あせるセイは、またもやヴァルキリー姉妹に相談して…

ということで、今回はヴァルキリー姉妹に助けられる(?)セイという構図になっています。いままであまり描かれなかった姉妹も登場しており、セイの愛玩動物としての立ち位置が明確に描かれおります。といいながら、ブリュンヒルデやロスヴァイセはそれ以上の感情を持っているようですけどね。特にブリュンヒルデのデレが激しい。イノシシと長女エンドで決定したようなものです。
今回、ヴァルキューレとフレイヤがセイを手助けしていますが、実はヴァルキューレって暇なのでしょうか? なんだかんだいいながら、姉妹全員がセイの手伝いをしているよなあ。神話のイメージだと、もっと凜々しく世界を飛び回っている感じなんですけどね。

セイの食材復帰作戦は、一度大失敗します。それはセイがいろいろ鍛えてため。今までは、肉と脂肪が黄金律で混じっていたのに、脂肪が少なくなってまずくなってしまった…って確かに食材として見た時は、脂肪を大切にしますよね。うーん、難しい。

でも、セイっていったい何者なんでしょうか? ただの煤けイノシシじゃないですよね。「晩ご飯になる」というすごい仕事があるとはいえ、普通ヴァルキリー姉妹やフレイヤを使い倒すことなんてできないもの。不思議な存在です。実はかなり大物なのかな?

今回は、あまり重い話はなく(セイにとっては、死活問題だったのでしょうが)ヴァルキューレ姉妹とのほんわかした話が続きました。しかし次巻からは暗雲が垂れ込めてきそうです。ヴァルキューレ姉妹とのほんわかラブコメが続くことを期待していますが、それだけではダメなようですね。

★★★☆
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2016年11月04日

異世界とわたし、どっちが好きなの?


著者:暁雪
出版社:MF文庫
異世界とわたし、どっちが好きなの?

主人公は、異世界ハーレムを夢見る高校生・市宮翼。ガチな異世界厨で、クラスでも友人がいないというボッチな高校生。幼馴染みはいるんだけど、イケメンの男と少々残念。でも妹もいるし、挿絵見る限りそこそこの好青年なんだし、うまくやればリア充なはずなんだけどなあ。
クラス一の美少女・鮎森結月は、その見かけ(ブロンドの髪と爆乳と整った顔)から当然男子に人気があるのだが、他人を寄せ付けず、教室で一人本を読んでいる少女。そんな結月と翼は、本屋のラノベコーナーで遭遇する。その日発売の緑表紙の本(よかったね、MF文庫で。そうじゃなかったら、表紙色指定できないものな)を買いに来たと。「市宮くんは異世界に行ったらなにがしたい?」「ハーレムを作りたい」「バカじゃないの?」と方向性は違うものの、彼女も異世界厨。その帰り道、翼はトラックにはねられかけ、気がつくと女神さま(大事なところが隠れていない服をまとったロリ神さま)から「希望の異世界は?」と転生を持ちかけられる。ところが、ポイントが足りず、現世に一度もどりポイント集め(神様の試練クリア)を行うことに…なんと結月もまったく同じ経験(女神様は美人)しており、二人は同盟を組んで試練に立ち向かうことに。

ってことで、実は異世界あんまし関係ない学園ラブコメでした。いやあもうなんていうか、こんな恋したかったなあと思わせるいいお話ですね。他人とふれあうことがあまりなかった二人だけに、はじめはぎこちない距離。それが少しずつ縮まっていき、自分の中に「あの人が好き」という気持ちが芽生えていく過程が、丁寧に描かれています。最初は単なる同盟だったのに、相手が好きという感情が芽生えることによって「今の関係を壊したくない」と動く翼。ところがそれが結月にとっては…このあたりは、男女の恋愛に対する受け止め方の違いが出ていて、本当にキュンとします。まあ神様のミッションも「異性のことを名前で呼ぶ」「握手する」「ハグする」「キスする」など、どう考えても「誰かとひっつく」ことを前提としているものばかりなので、必然の恋なんですけどね。

暁雪先生って「ひとりで生きるもん!」もそうでしたが、ツンデレの描き方が素晴らしい。最近のとってつけたようなツンデレというものではなく、本当に可愛いツンデレなヒロインだし、主人公も「それはおかしいだろ」というほど鈍感ではなく、「ああ、そこね。確かに難しいなあ」というところでひっかかります。つまり、現実味があるんですよね。
いいラブコメでした。今年一番だな。

★★★★★
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2016年11月01日

妹さえいればいい。(5)


著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(5)

今回メインヒロインは京。伊月の担当編集である土岐健次郎(趣味:風俗)の推薦でGF文庫編集部でアルバイトをすることになります。彼女を待ち受けていたのは、アルバイトというよりは、契約社員のような立場でした。初出勤早々問題児作家である那由多からの原稿回収を依頼されることに。さらには連日の飲み会、作家や編集者からの無茶ぶりに振り回される京。一方私生活でも、那由多の取材(全裸)、蚕のマンガモデル(全裸)ともう全裸になることにためらいがなくなっていますね。伊月の部屋に集う仲間たちとの人間関係に新たな段階が訪れます。男女二人ずつなので、うまくひっつけば問題がない訳ですがそこは人間の常、いろいろややこしいことになっており。

ということで「妹さえいればいい。」の5巻になります。今回妹=千尋は、ほとんど活躍しておりません。高校友人たちと海に遊びに行った(女の子として、全うに)シーンのみ。今回は京まわりが慌ただしくなってきているので、とりあえず一回お休みという形なのでしょうか。しかし伊月ってなにげにモテていますよね。本文に出てくるプロットなどは、どうしようもなく狂ったものですが、かなり天才肌のラノベ作家のようですしね。そのあたりに人を引きつける魅力があるのでしょうか? ついでにラノベの主人公らしく異性からの好意に鈍感ですし。京の好意ってダダ漏れだと思うんですけどねえ。今回は、その鈍感さが原因で物語が進むようになります。

しかし、ラノベ業界(作家や絵師)には変態しかいないのでしょうか? 出てくる人物に普通の人がいませんね。全裸でないと執筆できない那由多(そういや『桃音しおんのラノベ日記』でもしおんが全裸で執筆していたような)、下着愛が強すぎぱんつをカチューシャにしている蚕(今回、そのぱんつの出自も明かされます)。女性の尻にしか興味のないぷりけつ…どうなっているんだろう。困ったもんです。

ラブコメが一気に動いた今回。もしかするとラストスパートが始まったのかな?

★★★★
posted by あにあむ at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫