2016年10月27日

中古でも恋がしたい!(6)


田尾典丈
著者:田尾典丈
出版社:GA文庫
中古でも恋がしたい!(6)

今回は文化祭。
なぜか黒陵高校と合同開催となった文化祭。古都子のイメージを変えて悪い噂を一掃するため、清一たちは文化祭でメイドカフェを出店する。メイド服を着て、皆の印象を変えるという単純な企画なのですが、一度ついたイメージがそんなことで簡単に変わるのかなあ? それはさておき、黒陵高校の時雨亜恋から「初芝優佳のデリケートゾーン(仮)」というラジオ番組(校内放送)がねじ込まれます。裏でなにやら画策しているようで、文化祭が近づくにつれ、優佳は清一たちと距離をとるようになり、「ダメだよ。優佳に優しくしたら」と疎遠になっていきます。その真意は?

前回のコミケ回から一転して、一般でも理解しやすい文化祭ネタに移行。前巻は、本当途中で読むのやめたくなりましたからねえ。とはいえ、今回4巻までの面白さが戻ったかというと少々疑問が残ります。亜恋が登場してから、面白さが極度に減少してしまっていますね。彼女がヒール役な訳ですが、あまりにも陰湿で、理解ができないのです。昔清一に対してとった行動についても、まったく罪悪感がないというか、みじんも気にしていない。「他人」がどう考えるかはまったく考慮しておらず、自分が面白ければいいという考え。この手の思考にはついていけません。また亜恋の陰湿さを強調するため、ストーリーが破綻しつつあるように感じます。今回の合同文化祭に関しても、なぜ2校が合同で文化祭を開催するのか?という点がスルーされており、よくわからない。次巻も文化祭が続くようなので、そちらで登場するのかもしれませんが、今回は黒陵高校サイド出てきていませんよね。生徒すら出てきていない。通常ならあり得ない合同文化祭を、なぜ受け入れることになったのか? また黒陵高校生徒はどこに行ったのか? そもそも合同文化祭を行うのであれば、企画も合同で行うものがあるだろうに、まったく出てきていない。今のところ、たまたま同一日程で開催された文化祭に他校生徒の一部が顔を出しただけ。

ラブコメは、面白くなってきています。そういった意味では読み続けてみたいのですが、そのためにはストーリーのほころびを繕っていただきたいですね。やるなら陰湿なものではなく、もっと明るいストーリーを希望します。

★☆
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2016年10月24日

四億円当てた勇者ロトと俺は友達になってる(2)


著者:新木伸
出版社:スニーカー文庫
四億円当てた勇者ロトと俺は友達になってる(2)

ヒキニートなろととの共同生活(別名保護者)を始めたトレボー。ろとがロトで当てた4億円を節約しながら、まったりネトゲをする日々。最初の危機であるアパートの取り壊しは、ゲーム仲間のゾーマ、ワードナーに助けてもらい(ゾーマの会社で一棟買い)、ずっとまったりした日々が続くかと思っていた時、突然ろとままが訪ねてきます。その「ろと」を生んだはずの女性は、ろと以上にJSっぽく、そういうことするのは、絵面的にNGな感じ。っていうか、そもそも何歳なんだ? さらにまったりネトゲーについに「サービス終了のお知らせ」が。彼らの日常が続くことはある得るのか?

ろとままが登場します。大人な女性ではなく、ろと以上にJSっぽい女性。トレボーは、ろとままに「お兄ちゃん」と呼ばれうろたえたり。どう見ても、そういう経験なさそうな容姿ですが、なんと彼女曰く「そういった経験はない」と。ではろとはどうやって生まれた? 天才科学者であるろとままは、自らのコピーがあれば研究がはかどると考え、研究仲間から精子の提供を受け、人工授精したと。で、身体が出産に耐えられそうにないから、帝王切開でろとを生んだと。へー、ほー、はー。じゃあなぜろとをきちんと育てなかった。なぜネグレクトしていた? という問いにも答えはあり、さらにろと自身が気にしていないようなので、しぶしぶ怒りを収めるトレボー。

ろとままも加えて、また日常が戻りますが、今度は「サービス終了のお知らせ」が…どうしようもなく、トレボーは代わりのネトゲを探そうとしますが、時代は月額無料の課金制が主流。定額でまったり遊べるゲームは皆無な状態。そもそもろとは、ネトゲが続けたいのではく、トレボーと出会った今のネトゲを続けたいのであり…今回ばかりは手詰まりかと思えましたが、またもや。

まったりネトゲな日常が描かれる当作品。別にいつまででも続けられそうな作品でした。この作品が終わるとしたら、ろととトレボーが一般的な意味でひっついた時かな? と思っていたのですが、なるほどこういうイベントもあったんですね。

この作品は、ラノベにしては登場人物の年齢が高め。ろとも20歳は超えているようですし、ワードナーとゾーマは40歳前後。トレボーも20代後半のようですし、ラノベ主人公にしては珍しく「童貞」ではないようで、ワードナーとゾーマもそういう関係のようですし、ろとままも見かけはともかくママなんですし。
個人的には廃人(ゲーマー)が理解できないので、ろとの言動にいらつかされました。その分、作者の他4コマ小説に比べて読みづらいところがあったのは事実です。トレボーも世間知らなすぎるし、ゾーマの会社経営も常識からずれてしまっています。Win-Winな関係ってのは、わかるけど、会社買収はお金だけで解決しないことが多いんですけどね。

★★★☆
posted by あにあむ at 13:30| Comment(0) | TrackBack(0) | スニーカー文庫

ギャルこん!


著者:三門鉄狼
出版社:講談社ラノベ文庫
ギャルこん! ギャルと新婚生活することになった。

主人公は、高校の入学式を終えたところの圭太郎。その日から住むことになった寮に向かうと、「おかえりデース、ケータロー」と完璧なギャルに出迎えられます。真乃と名乗った彼女は、圭太郎のことをよく知っているみたいですが、圭太郎には記憶がない。しかも二人で新婚生活を送りたいといいだし、裸エプロンで料理したり、初夜だといって寝室にやってきたりと、圭太郎を動揺させるに十分な行動をとってきます。そんな圭太郎の状況を見て、それまでクール美少女を演じてきた幼馴染みの果音が、キャラ崩壊させて、ラブコメに参戦してきます。圭太郎は真乃のことを思い出せるのか?

記憶はないけれど、幼い頃に出会ったことがあるらしいギャル美少女。全面的な愛情を注いできます。彼女のことを知りたくなった圭太郎は、いろいろな方法で過去の記憶を探ろうとしますが、それがクラス内で波紋を呼ぶことになってしまい、本当のギャルと敵対していくことになります。

真乃も見た目はギャルっぽいのですが、中身はまったくギャルではなく、料理も完璧だったりします。長い間、海外で生活していたため、日本語が少しおかしいことと、愛情表現の仕方がおかしいこと以外は、ある意味普通の子。ただその見た目と外国育ちのフレンドリーさが、クラス内ヒエラルギーに影響を与えてしまいます。

一方、果音のほうは、まったく男性を寄せ付けないクールビューティ。中学の時に告白してきた男子に「レポート」を提出させ、その誤字脱字を添削して突き返したという伝説を持ちます。しかし、その実態は、圭太郎のことが大好きで、そのことに気づいてもらえるまで、男子が近寄らないようキャラを演じていたというかわいい女の子。真乃の登場で、一気にキャラ崩壊していますが、いままでよくボロ出さずにいましたね、この子。

圭太郎はギャル嫌い。その理由は、昔の仕打ちにあるのですが、なんか最近の主人公って、この手の経験がある率が高くなっていますね。まあ「xxが嫌い」という理由付けとして、一番簡単だからでしょうが、もう一ひねりして欲しかったなあ。

真乃の一途さもすばらしいのですが、なぜか応援したくなる果音。キャラを崩壊させてまで、圭太郎に気づいてもらいたいというけなげさが魅力ですね。ヒロインはもう一名中二病なのがいますが、そっちはどうでもいいや。

★★☆
posted by あにあむ at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 講談社ラノベ文庫

2016年10月18日

ヴァルハラの晩ご飯(2)


著者:三鏡一敏
出版社:電撃文庫
ヴァルハラの晩ご飯(2) 〜オオカミとベルセルクの野菜煮込み〜

主人公は日々ヴァルハラキッチンで「食材」になっているイノシシのセイ。彼は、日没とともに蘇生するという能力を持っているため、毎日食材にされる日々を過ごしています。冷静に考えると、毎日死ぬ恐怖があるのだからひどい話ですね。便利なのは、どれだけ身体が不調(外科的にも内科的にも)でも、生き返るとフレッシュな状態に戻っているということ。
前回世界樹を倒壊の危機から救ったことで、主神オーディンより英雄認定されたけど、待遇はまったく変わっていません。戦乙女9姉妹との距離が近くなった(気がする)ことが唯一のメリット。そんなある日、9女ロスヴァイセが、巨大なオオカミに変身する神技に失敗(理性を失って暴走してしまう)。そのショックで引きこもってしまいます。彼女に笑顔を取り戻すため、セイは一吠えで島一つを吹き飛ばすという魔狼・フェンリルに会いに行きます。彼は、ロスヴァイセの心を救うことができるのか?

今回もセイの活躍が描かれております。本来恐ろしい存在であるはずのフェンリルにも平気で話しかけるし、実はセイって神様より偉い存在なのではないかとの疑問も浮かんできます。まあ単純に、抜けているだけなのかもしれませんが。前回料理長に指摘されたセイにとっての地獄(食材にならずに死んでしまったら、英雄たちの食材がなくなってしまうので、日没で生き返ると同時に食材にされてしまう。そして、生き返るのは次の日の日没…食材にされるために生き返ることの繰り返し)を抜け出す機材・冷凍庫が登場します。これによって、セイの死体を保存しておくことで、その日はその肉を利用。生き返ったセイは一日生きることができるというもの。ってこれもつらいなあ。

さて本筋ですが、ロスヴァイセの件だけでも大変なのに、英雄たちに不穏が動きが出てきます。神々に認められた英雄とはいえ、いやそれ故、神々との間に上下関係が生じており、いろいろ鬱憤がたまるようです。人間ってやつは…ということですね。

この作品、セイの軽いノリがあるため、非常に読みやすくなっています。しかもどうやら戦乙女たち(特にブリュンヒルデとロスヴァイセ)は、セイを異性として見ているようでして、そのあたりのラブコメも楽しいことに。ラグナログに向かって、いろいろきな臭いことが起こっていますが、軽いノリは悪くありません。前巻同様「生命」という重いテーマを扱っていますが、ぞんざいに扱わず、かつ重くならない絶妙のバランスで描いているので良作です。もっと読みたくなる作品ですね。

★★★★☆
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2016年10月17日

復活したらLv1だったので、生き延びるために英雄少女を口説くことにしました。


著者:ひびき遊
出版社:MF文庫
復活したらLv1だったので、生き延びるために英雄少女を口説くことにしました。

主人公は、人類最強の存在である英雄王に負け、長き眠りについていた魔帝ロキ。彼は666年を費やすことで、人を超越した「完璧」な存在として蘇るはずでした。ところが、完全体となる前に何者かにたたき起こされ、不完全な状態で復活してしまいます。どこぞの腐った巨神兵みたいですな。
たたき起こしたのは、美少女4人組。彼女たちは英雄の子孫ということなのですが、それをさておき、ロキは「誰にも邪魔されない、自分だけのハーレムを築きたい」と考えていたので大喜び。なんせ魔帝城に入れるのは、乙女だけ。つまりこの4人も乙女であることは確定している。しかしロキの喜びは長続きしなかった。なぜなら彼はLV1になっており、彼女たちに太刀打ちできない存在だったから…ロキは急遽方針を変更。生き延びるために、彼女たちを口説き落とすことにします。不完全体で復活した魔帝が、英雄少女を口説き落とすことで生き延びようとする物語。というか、開始早々一度ぶち殺されてしまうのですが…

ロキが女の子好きでかつお調子者という設定になっているので、明るいラブコメになっています。女好きだけど、無理強いするのは嫌だという紳士なところも持っているんですね。なので嫌みなところがない。それはいいのですが、残念なのは、英雄少女にキャラ付けするため、各少女を変な口調にしてしまったこと。「おバカ」はまだ許容範囲だけど(それでも違和感ある)、なんにでも「ファッキン」入れる少女は、何を考えているのやら?せっかくLv1になってしまったロキを取り合うという面白い本筋があるのに、この口調のせいで逆にキャラが死んでいます。残念。

★☆
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2016年10月14日

さすがです勇者さま!(3)


著者:あさのハジメ
出版社:講談社ラノベ文庫
さすがです勇者さま!(3)

魔王・シルヴィアの誕生日パーティ。笑顔にあふれた、楽しい日常。その記憶からふと目覚めた悠理が目にしたのは、かつて異世界に召喚されたときと同じ状況。しかしながら、この世界では人間と魔王は和解してしておらず、戦争状態なことに気づく。さらに聖剣リーゼロッテは現れない。そしてレオナからは「シルヴィアを倒して欲しい」と依頼を受けます。姿を現したシルヴィアは、ひどく冷たい目をしており。悠理はかけがえのない日々を取り戻すために、改めて全力で向かっていきます。

異世界に召喚された主人公が、さらに異世界に飛ばされてしまう。しかもその世界は、元の世界の平行世界。同じような世界でありながら、一つだけ根源的な差が生じてしまった世界。その世界で生活している人々にとっては、今の生活こそ「すべて」であるのですが、別世界での仲間たちと暮らした日々を考えると、なんとかしなくてはならない、その狭間で葛藤するユーリ。さらに主人公らしくなってきましたね。

二つの世界で大きく異なるのは、シルヴィの立ち位置。元世界では、強力な魔力を押さえ込むことに成功し、それが故、皆と仲良く暮らせていたのですが、こちらの世界では魔力を封じ込めることに失敗しており、それ故魔王として君臨することを望むシルヴィ。とはいえ、根源的な部分ではなにも違いはないはず。その部分にかけてユーリがとった行動は?

クライマックスということですから、もしかするとこれが最終巻なのかな? それにしてはラストが残念です。もう少し続くことを祈りたいですね

★★★
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2016年10月13日

異世界Cマート繁盛記(4)


著者:新木伸
出版社:ダッシュエックス文庫
異世界Cマート繁盛記(4)

今回無双するのは瓶ラムネ。最初は「飲んだらなくなる」だと売れないということだったけど、手作りラムネを詰めることで大繁盛。まあもともとリユース前提で考えられた飲料ですしね。

それ以外に、Cマート内でキングたちの会議が開催されたり、スマイル0Gを巡って、エルフとエナにプチバトルが発生したり、自称「有名小説家」のスランプを解決してあげたりと、ゆったり通常営業。

前巻で美津希がついに異世界に来ましたが、異世界との行き来がどんどん簡単になってきているようです。スーパーJC・ジルだけでなく、気がついたらGJ部中等部のみんなが異世界に来ています。って全然異世界に動じないんですね。彼らの頭の中って、どうなっているのでしょう? でもこの村にとって「まれ人」さんがまれじゃなくなってきているような気がしないでもありません。そのうちGEな人たちも現れたりするんでしょうか? あっちの人のほうが、この世界に近いところにいるような気がしますけど。

エナの成長を見守るのもこの作品の醍醐味。孤児たちのお姉さんとして頑張るエナの成長を見守るエルフとまれ人さん夫婦…いや、そうじゃないはずなんですが、なんかそう見えてしまう。エナも成長とともにまれ人さんに対する気持ちの正体に気がついてきたようで、焼き餅が激しくなってきています。エフルも実はという気がしないでもないのですが、そこは大人の余裕(わふぅ)で、冷静を保っているような。さらに現実世界の美津希や幼なじみたちも登場して、ハーレムというか修羅場の種というかが築かれつつあります。果たしてこの後もまれ人さんはゆったりスローライフを楽しみ続けることはできるのでしょうか?

……って、当然できるんでしょうね。この作品で青天霹靂の出来事がおこるとは思えない。

★★★★
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2016年10月12日

クソゲー・オンライン(仮)


著者:つちせ八十八
出版社:MF文庫
クソゲー・オンライン(仮) 「運営は全員逃げたけどなんの問題もないわ!」

舞台は、全255層のフロア攻略型VRMMO「ソード&マジック・オンライン」。すぐにラグが発生する。そのため、自らの武器が自らに刺さり死んでしまう。剣と魔法の世界が舞台なのに、魔法が実装されていない。他にもバグがいっぱい。未実装もいっぱい。そんなクソゲーをプレイしているササラキが主人公。こんな世界でも、ゲームを楽しんでいる人はいる。そんな人の想いをつなぐため、世界崩壊(サービス終了)を防ぐために、運営にジョブチェンジして頑張る物語。

まあざるそば(かわいい)な作者さんの作品ですから、まともなはずはありません。かなり進んだVRの世界にも関わらず、いろいろな「仕様」が存在する世界。開発費が途中で尽きて、βテストをしていないし、開発陣はみんな逃げてしまった。そんな世紀末な世界で、ササラキは、謎の美少女・アリスに誘われ、運営を始めることになります。パーティメンバーには、内緒で始めたGM業ですが、あっさりばれてしまい、彼女たちも運営に参加することになります。「GMになってしまったら、世界を楽しめない」と考えていたササラキですが、世界を創るという新しい楽しみに目覚めていきます。まずは、「実は2層目からは未実装」だったラストダンジョンをどうするか? PGを組むこともできない3人はどのようにして危機を乗り越えていくのか?

うーん、なんというのでしょう。前回はざるそば(かわいい)がヒロイン。で麺inBlackなど謎集団が登場しました。今回は、崩壊した運営を一人で支える美少女が登場しています。外見年齢は12歳(基本アバターは、本人を投影したものらしいので、現実世界でも12歳なのかな?)。運営会社社長は入院中。どうやってこの少女は運営を続けているのか? いろいろ謎はありますが、はっきりいって考えるだけ無駄ですね。この作者さんの場合。

前作に比べると、読みやすい作品ではあります。世界観もまだ理解できます。物語は完結していないので、続編を待ってみましょう。

★★☆
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2016年10月11日

りゅうおうのおしごと!(3)


著者:白鳥士郎
出版社:GA文庫
りゅうおうのおしごと!(3)

「あいも師匠と一緒に『おーるらうんだー』めざしますっ!
宿敵《両刀使い》に三度敗れた八一は、更なる進化を目指して《捌きの巨匠》に教えを乞います。「両刀使い」は将棋戦術の話なんですが、どうもこの人、別の意味でも両刀使いなようで…一方八一のあこがれの女性である桂香は、研修会で降級の危機を迎えます。彼女の年齢からしても、ここで降級することは、研修会をあきらめることに直結する危機です。彼女は、急激に成長していくあいと停滞する自らを比べ、焦燥に駆られます。そのため、あいに対してつらくあたってしまったり。
そんなあいも、自分が勝つことで大切な人を傷つけてしまうことがあることに気づき、勝利することに対する「怯え」を抱くようになります。三者三様に悩みを抱えた3人はどのように乗り越えていくのでしょうか?

今回は「才能」が物語の根幹になっています。努力すれば、高みに向かうことはできる。でも持って生まれた才能の差によって、到達できる高みが異なってしまう。日常生活でも嫌というほど味わうことです。好きなものに対する才能がなければ、どこかであきらめる日が来る。でも才能あるものも、その才能故悩みを抱えているのは同じ。八一は、宿敵に勝つための成長、そしてあいは「相手をつぶしてしまう」ことへの恐怖の克服、桂香は勝つために行ってきた研究が原因の停滞。それ以外にも「捌きの巨匠」こと振り飛車の名手・生石充の才能なき娘・飛鳥。それぞれが抱えた悩みは自ら打開していくしかない。

今回は、今までの軽い感じの話から、急に重い話に変わりました。でも、それが理解できる重さ。誰もが形は違えど苦しんでいる事柄。負けることで夢破れていく人。勝つことで、自らを追い込んでいく人。でもこの作品に登場する人物たちは、それぞれが精一杯生きています。それが気持ちのよさにつながっているんでしょうね。

将棋は知りません。でも十分に楽しむことができる作品です。これからも楽しみな作品です。

★★★★
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だからお兄ちゃんと呼ぶなって!


著者:桐山なると
出版社:ファミ通文庫
だからお兄ちゃんと呼ぶなって!

主人公・蓮杖アキが病室で目を覚ますところから、物語がスタート。そこには、息をのむような美少女が。その美少女が誰かだけでなく、自分が「誰」なのかすら思い出せない。そんな彼に美少女は萌々と名乗り、アキの妹だという。アキは事故に遭って、それから1週間ほど意識を失ったままだったらしい。診察した医者は「外傷性の逆行健忘」すなわち記憶喪失であると断言します。アキを待っていたのは、記憶を取り戻すためという理由で萌々から与えられる過剰なまでの妹の愛! 果たして…

すごく読後感が悪い作品です。主人公が記憶喪失。これはよくある設定です。で、妹のことすら忘れており、その妹に恋をしそうになる。まあありそうだね。この作品は、その妹が兄に対して、過剰なまでの愛を注ぎ、それ以上に事故前のアキ本人が、病的なまでのシスコンだったという設定がついています。スキンシップは当たり前。下手したらお風呂も一緒。部屋の壁や天井には妹の写真がぎっしり。そんな性格だから、学校では友人もおらず、完全に浮いた存在。いやそれ以上に嫌われていた模様。
で、事故後のアキは、すごく常識的な思考になっており、妹からの愛情に辟易としています。普通なら「まともになった」と喜ぶべきところですが、妹は「以前」に戻そうと必死になります。このあたりから「ズレ」が生じ始めます。そう妹が単なるブラコンではなく、非常に病的なものを抱えている(すでに心が壊れている)ことが浮き彫りにされ、アキが入院していた病院の院長も非常に怪しい。そもそも事故自体が仕組まれたものだったのではいか? 疑心暗鬼が募ります。それでも、ラブコメっぽいノリで進んでいくのですが、ラストで…

この作品は「萌々にゅん」とかラブコメ(バカ)臭がするものの、実際はサイコホラー作品です。だから読後感が悪いんだ。そういやこの作者さんの前作も一見ラブコメ、でも実は…って作品だったなあ。行き過ぎた愛情は、気持ちのいいものではありません。もう続編はいいや。

★★
posted by あにあむ at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫