2015年12月24日

あやかし露天商ティキタカ


著者:井上樹
出版社:GA文庫
あやかし露天商ティキタカ

主人公は、普通の高校生・江口海人。思い人は、幼なじみの葵。あまりにも美少女になってしまったため、海人のほうから距離を取るようになり、現在では疎遠になってしまった存在。そんな、いろんな意味で普通な海人にある日「普通でない」ことが起こります。
机の引き出しが、ガタガタとなって猫型ロボットではなく、ティキタカと名乗る美少女が現れます。ティキタカは、あやかし相手の商売をしていて、海人の部屋を店として借りたいと言います。部屋を貸すメリットがないと渋る海人に対し、ティキタカは賃料代わりに「モテ薬(但し24時間有効)」を渡すといい……健全な男子高校生である海人は、なんの迷いもなく 「まず、一カ月だけ契約してみるわ」と……
このティキタカ、無表情な美少女なんですが、ウイレレが大好きだったり、無表情で下ネタぶち込んできたりと、一筋縄ではいかない少女(あやかし)です。

早速、モテ薬を飲む海人。その効果は抜群で、学校でも女子生徒たちに大人気。もう誰とでもヤれそうな状態。しかしまあそこはラノベなので、海人は我慢します。目立ちすぎて、しんどくなった海人は、午後の授業をサボることに…その帰路に葵と偶然会い、モテ薬の勢いで声をかけ…昔のように「カーくん」とうれしそうに返事をしてくれる葵ですが、どこか辛そう。しかもモテ薬も効いていないよう。ティキタカいわく「大きな悩みがある人には効かない」ということ。ほっておけなくなり、なんとか悩みを聞きだそうと、葵の自宅に行くと、そこで母親から(こちらにはモテ薬が効いた)、葵の祖父が先日亡くなり、その原因が自分だと思い込んでいるという話を聞かされます。

なんとか解決したいと思う海人。猫型ではないティキタカに相談したところ、亡くなった人を呼びだすことが出来る道具があるとのこと。ただし、人間はあやかしの通貨を持っていないので、別のもので支払う必要があると…処女であれば、血や髪の毛などで払うことが出来るが、男のものはほとんど価値がない。そこで「人間」を切り売りすることで、払うことが可能と…ただし50%以上人間を売ってしまうと、二度と人間に戻れない。それ以下ならば、時間とともに人間分が補充される…なんだか、TRPGのようですね。

その後も、いろいろ騒動が発生し、それを海人たちが解決していくというストーリーになっています。ある意味わかりやすいストーリーなんですが、ラストはちょっと以外だったなあ。

この作品は、幼なじみが不遇ではありません。メインヒロインの座をがっちりと掴んでおります。サブヒロインも可愛い存在だったので、しばらく楽しめそうですね。

基本的には「ありがち」な作品です。でもティキタカの性格が、いい味出していますね。彼女が好きなのは、ウイレレと人間の男女のまぐあい……あやかし的に、あえぎ声を上げて、絡み合うのがツボにはまるそうで…そう。あやかしにとっては「性的」な意味ではなく「笑いのツボ」になるそうです。……なので、海人に「モテ薬」を渡したのも、海人が「そういう行為」に及ぶのを見たかったから……うーむ。

★★★☆
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オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。(3)


著者:佐倉唄
出版社:富士見ファンタジア文庫
オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。(3)

最終巻になります。
今回の「屈折のデザイア」被害者は、留学生のハンナ・エイムズ。彼女は、他者と感覚共有が出来る代償として「全身を性感帯化」してしまうという症状。今までの少女たちと異なり、発症を自分でコントロール出来るのに、自ら進んでその能力を使っています。といって、18禁な作品のような理由ではなく、別の理由があったのですが……

主人公弥代がどんどん成長しています。1巻では「女性嫌い」という名の、偏屈野郎だったのですが、屈折のデザイアを通して、奈々・千編や幼なじみと仲良くなり、どんどん人間としての感覚を取り戻していきます。というか、十分リア充です。クリスマスイブには、奈々とデートの約束するし、茜とはキス(ホッペにだけど)するし…千編は、べったりひっついてくるし…奈々の秘密の花園をスマホで盗撮するし…って犯罪が一つ混じり込んでいますね。

ハンナは、周りの人に嫌われたくないという理由から、他者の心を感覚共有で読み取り、一番いい言葉を探すという「八方美人」な対応をしています。そのたびに屈折のデザイアの代償として、性的快感を受けているのですが、これって今まで誰にも気がつかれなかったんだろうか? そんなハンナの行動に危うさを覚える弥代。なんとか、彼女に考え方を変えさせようとするのですが、それは自分の考えを押しつけることになってしまい、うまく行きません。その過程で、奈々ともうまく行かなくなってしまい……

自分にとって「正しい」ことが、他人にとっても「正しい」ことかどうかはわからないということですね。それでも「人」として正しくないことは、はっきりとあるはず。そういった青春ドラマになっています。

今回は、恋愛ドラマになっています。弥代が「恋愛」という言葉の意味を理解するようになり、ふと気づけば周りには茜をはじめとして魅力的な女性陣が…いきなり誰を選ぶのかという難題にぶち当たっています。ってなにそのリア充な悩み……

女の子達が一生懸命だった、いいシリーズでした。
★★★☆
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2015年12月17日

さすがです勇者さま!


著者:あさのハジメ
出版社:講談社ラノベ文庫
さすがです勇者さま!

主人公は、異世界に召喚され、人間離れした勇者の力を手に入れた高校生・鈴原悠理。ところが、その世界はとっくに平和になっていた…「魔族との戦争は?」「もう終わりました」「…魔王は?」「バイトで学費を稼ぎながら学生してます」 戦うべき敵も、陰謀も、世界の危機もない状況に開き直ることにした悠理は、魔王・シルヴィアたちと平穏な学園生活を送ろうとする。でも、剣を振れば教室が崩壊、クシャミすれば学園の魔術決壊を破壊するという、超人的パワーのためトラブルばかり呼び込んで…

悠理は、元世界で7回も転校するうちに「人付き合いなんて、くだらない」という真理にたどり着きます。でも、別にコミュ障という訳ではないので、その気になれば人と付き合うことは可能。異世界では、目標がなくなってしまったため、「普通の生活=友人たちと楽しくすごす」を目指します。同級生は、魔王である美少女・シルヴィア。それと本来は勇者パーティの一員として魔王を倒すはずだった魔術師のルチア。先生は。これも美少女で勇者パーティの一員だったはずの、傭兵のエヴァ。それぞれ、その能力や出自が故、普通の生活が送れなかった4人が、青春しています。

って魔王さまが可愛すぎます。お菓子作りが大好きで、しかも優しい。もうね、こんな魔王倒す気になれそうにありません。そりゃ世界も平和になるわ、という話ですね。
ルチアは、本来魔王を倒すべく努力してきたのに、いきなり平和な世界が訪れたため、力の使い道がなくなってしまったかわいそうな存在。さらに登場時に、悠理のくしゃみで服と下着を飛ばされ「裸マント先輩」というあだ名つけられるし……
エヴァは、よく見かけるタイプの少女ですね。いろんな作品で、この手のキャラを見かけます。

本編の合間に「0章」という章が挟み込まれています。ここでは、伏線や登場人物の過去の関係性などが語られているのですが、少し時系列がわかりにくくなっている気がします。本編の流れがせき止められている感じがするので残念です。

力を持っているが故に「普通」でいられない4人が、普通の友人を目指す楽しい物語になっています。少々甘みが強いラブコメですが、楽しいですね。

★★★★
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2015年12月14日

僕の文芸部にビッチがいるなんてありえない。(5)


著者:赤福大和
出版社:講談社ラノベ文庫
僕の文芸部にビッチがいるなんてありえない。(5)

夏休みに突然耕介たちに文芸部廃部の危機が降ってわきます。
そんな折、伊吹が東雲家の別荘がある無人島での財宝探しを提案してきます。その島には学園理事長である伊吹の祖父が財宝を隠して緒り、それを発見できれば彼女の願いを何でも叶えてくれるという約束があるのだという。そこで、耕介達文芸部一行は、無人島に渡り、財宝を探すことに。

ハーレムラブコメの定番・無人島回です。耕介以外は全員女の子。しかも全員が耕介に好意を持っている状態。これでなにも起こらないほうがおかしいという状況ですね。無人島には、これまたお約束で凶暴な獣たちが生息しており、唯一の宿泊場所である洋館では、昔連続殺人があったという……さらには、嵐の夜、外部から遮断された洋館では、少女たちが一人ずつ消えていき…最後に残された耕介は……

いろいろとお約束が炸裂していますが、その分変な流れにならず、ストーリーを楽しむことが出来ます。前巻ではシャルテがメインヒロインでしたが、今回は伊吹と愛沢がメインヒロイン。前回、愛沢たちの存在がバレたこともあり、今回もシャルテは登場していますが、シスコン耕介にとっては、どこまで行っても妹のようです。一緒にお風呂入っても、平気なようですし、水浴びするシャルテを「きれいだ」と平気で眺めていますからね(世間的には変態という) 天虎は幼なじみのお子ちゃま扱いのまま。どうやら「異性」として意識するのは、伊吹と愛沢の二人に絞られてきたようです(九重は色物扱い)

今回もエロコメ用シーンが準備されています。前回ほどあざといシーンではなく「お約束だし仕方ないかな」というレベル。どちらかというと、ストーリーに重点が置かれていたので、受け入れることが出来ました。まあ相変わらず耕介はらっきーすけべの連続なんですけどね。

ところで、そろそろタイトル改変してもいいんじゃないかな(笑)。なんかもうビッチという言葉、まったく必要なくなっていますよね。色物担当の九重ですら、実際には純情な少女というのが明確になっていますし、ビッチが誰もいないのは明白。

ラブコメの行き着くところは、どこにあるのでしょうね? もう少し楽しめるようです。
★★★☆
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2015年12月10日

出番ですよ!カグヤさま


著者:逢空万太
出版社:GA文庫
出番ですよ!カグヤさま

「わらわはカグヤ・∀・ハインライン。月を統べる女王だ―― 元 、な」
ある日、主人公・支倉裕太が、流れ星に願いを祈っていたら(segaho)、流れ星とともに、美少女が落ちてきた…彼女は、カグヤと名乗り、元月の女王とのこと…月で失政し、リコールされて地球へ追放されたと…にわかに信用出来ない話ですが、クレーターの中に突き刺さっていたことなどから認めざるおえなくなり…当然地球で行き先がある訳はなく、さらに結太に一目惚れしたことから、なし崩しで結太の家に転がりこむことに。普通ならば、そんな訳のわからない少女を連れ帰ったら親に怒られそうなものですが、結太の母親は、あっさりカグヤを受け入れます。しかも、結太が風呂に入っているところに、カグヤを送り込んだり(当然全裸)、一緒の布団に寝かせたり、あげくに手をださなかった結太に「これだから童貞は」と曰う始末。どうなってんだろう? この家庭…

逢空万太さんの作品は、最初からヒロインが主人公に好感度Maxであることが多いのですが、この作品も同じ作りになっています。ついでにヒロインがアホの子であるのも、他作品の流れを踏襲。安定したギャグワールドですね。あ、あと父親が出てこないもの特徴かな?

カグヤには、首輪のようなチョーカーがはめられており、無理に取ると自爆してしまうという「罪人」仕様になっています。カグヤ自身はまったく気にしていないのですが…そのチョーカーには善行値が表示されるようになっており、当初の値はマイナス530000。カグヤの罪が許されるためには、善行値を100にしないといけない。いったいどれだけ時間がかかるんだ!

容姿的には、ど真ん中ストライクだけれども、その残念さがハンパなく、なんとかしてカグヤを月に送り返そうとする結太。でもカグヤの行動は、善行とはほど遠く、なかなか値が貯まりません。果たしてどうなるのか?

なんか日本昔話も含めて、いろいろ台無しにしている感もあるお話になっていますが、SF的考証をすべてすっ飛ばしているため(開き直っている)、ギャグとしての完成度が上がっています。この世界観に、SF的考証を入れ込むと、面白くなくなってしまいますからねえ。とはいえ、少々やり過ぎな感もありますが……

他作品と若干印象が違うのは、主人公の性格でしょうか? 思春期ボーイズとしての欲望が表に出てこないんですよねえ。某戦乙女な作品や、某マンタ神様な作品の主人公は、もう少し欲望がありました。まあカグヤが残念過ぎるため、手を出す=地獄に落ちる のような気もしますが、容姿端麗な美少女(馬から落馬している表現だな)が迫ってきたり、ディープキスかましてきたりしたら、もう少し反応があってもいいと思うのだけど……それが、主人公の印象を弱くしてしまっているようです。

カグヤが月に戻るまで、まだまだ話は続きそうです。(少なくとも3巻までは続く模様)結太がもう少し積極的になれば、もっと面白くなりそうです。

★★★☆
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超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!


著者:海空りく
出版社:GA文庫
超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!

主人公は、超人的能力を持った七人の高校生。その高校生たちが乗った飛行機が事故を起こし、目が覚めると、そこは魔法や獣人が存在する中世っぽい異世界だった。そんな事態に彼らは混乱することもなく……電気もない世界で、原子力発電所を作ったり、大都市の経済を牛耳ったり、悪徳貴族と戦争したり……

高校生達は、とてつもない能力を有しているものの、挫折や苦難により心の傷を負い、それを乗り越えてきた分だけ、分別のある大人になっています。とはいえ、そこは高校生。前後の見境がないと思える行動も見受けられるのですが……七人がいがみ合うのではなく、それぞれの能力を正当に評価し、力を合わせることにより、打開できない局面はないという状態になっています。

政治・経営・科学・医学・ジャーナリスト(忍者)など、それぞれの分野でエキスパートな主人公たちですが、医学あたりからエキスパートの方向性がおかしくなってきています。科学は正統な(?)マッドサイエンティストですが、医学は知識だけでなく手技まで超人化。ジャーナリストは、その行動力ではなく、忍者であり戦闘能力があるという方向になっています。これって別に忍者でいいでない? 特にジャーナリストである必然性が見つかりません。マジシャンも、正統であるのですが、その技術がある意味一番超人的。タネがない異世界でも、すごいマジックを見せております。どうやっているのだろう?

この作品が面白いのは、七人の能力が突き抜けていること。さらに主人公達の人生が描かれていること。超人でありながら、人間的な部分を見せていることなどが要因でしょう。
私人としての部分を殺して公人として振る舞う政治家・司ですが、獣人・リルルとの関係がどうなっていくのか楽しみがあります。また経営者・真田勝人も、自らの判断で奴隷の少女を保護(購入)。この二人もどうなっていくのかな?

さらに、超人たちだけが活躍するのではなく、異世界の住人たちの意思・活躍のもとに超人たちがオーバーテクノロジーを用いて手助けするという構図になっているので、登場人物全員が生きてきています。七人以外が「書き割り」という状況でないのが楽しいですね。

★★★☆
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2015年12月07日

天使の3P!x6


著者:蒼山サグ
出版社:電撃文庫
天使の3P!x6

前巻で応募したキッズロックフェス。その結果が届くが、なんとリアン・ド・ファミユもDragon≒Nutsも落選。フェスに登場する子供達の演奏と自分たちの差を認識し、落ち込む小学生たち。特にリアンのほうは、目標を見失い迷走を始めます。そんな彼女たちを見て、響は「厳しさが足りなかったのでは?」と頑張らそうとしますが、それが逆効果に。音楽そのものへの疑問を抱かせるようになってしまいます。

一方、Dragon≒Nutsのほうは、自らガールズバンドに前座としての殴り込み営業をかけ、自らのテクニック不足を補おうとしていきます。その中でタランチュラホークというバンドと出会い、しごかれていく中で、バンドの方向性を見いだしていきます。

対照的な状態になってきた2つのバンド。響はどのように接していけばいいのか、迷い出しますが、桜花の助言によりリアンの進むべき道を見つけ…

人によって「やる気スイッチ」の場所は違い、モチベーションになるものも違うというのが今回のテーマですね。でも「うまくなりたい。昨日の自分より少しでもうまく演奏したい」というのは、すべてのことに共通するモチベーション。ただ「やる気」を出すための方法が人によって違うだけ。それに気づけるかどうかが、バンドを続けていけるかどうかの分かれ道なんでしょうね。

今回も順調にロリへの道を進み続けている響。映画館でのアレは、本当誰かに見られたら、完全にアウトだったでしょうね。さらに「ドキドキしました」と告白するあたり、すでに重症なのかも知れない。さらに学校では「小学生といえば、響」と認識されているという「もうあきらめて下さい」という状態。でも高校生と小学生。あと10年もしたら年齢差関係なくなるよ。ドンマイ。

今回もヤンデレぶりを遺憾なく発揮している妹・くるみ。またもや怪文書を作成しています。しかもお説教はお風呂の中でという、もうね。確かに響の周りにいる少女で、手を出した場合、社会的に抹殺される可能性が一番高いのは、くるみなんですよね。桜花なら問題なし。小学生ずであれば、時が解決してくれる場合がある…でもくるみは… ただ現状一緒にお風呂に入れるなど、一歩リードしているのも事実…響に未来はあるのでしょうか?

今回、折り返し点とのこと。どうなっていくのでしょうね。思わせぶりな登場人物もいましたし、いろいろありそうです。

★★★★
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99番目の吸血鬼 〜最後の吸血鬼〜


著者:サイトウケンジ
出版社:MF文庫
99番目の吸血鬼 〜最後の吸血鬼〜

主人公は、高校生の少年・九十九仁。舞台は都市伝説が実体化した「ロア」が存在する街。仁は、そんなロアの一人である吸血鬼の少女・シルヴィアの封印を解いてしまいます。しかしその少女と恋仲となり、彼女とともに、人間の脅威となるロアを退治していくことに…

もう見事にサイトウケンジさんの作品ですね。この方の作品は、タイトルは変わっても、世界観は見事に同じです。「ロア」という存在や、ふわふわと可愛いヒロインたち、さらにはなんと読むのかわかりにくい主人公の名前……他にもいろいろ共通する小道具も。そういった意味では、ワンパターン化してもおかしくないのですが、十分楽しめるのが不思議ですね。

今回は、ヒロインロアは2名。一人はロリ美少女な吸血鬼・シルビィ。もう一人が口裂女のロアである、無表情な美少女・綾瀬。二人とも仁にベタ惚れというのがなんとも。シルビィは見た目が可愛いのですが、綾瀬は無表情ながら「脈ありですね」と小さくガッツポーズするところがなんとも…

「一人かくれんぼ」「誘拐モール」といった都市伝説が下敷きになっています。いずれも、悲しいお話。さらに最後の「吸血鬼」に関するお話も悲しい。いずれも悲しい話なんですが、シルヴィアと仁のいちゃいちゃや、綾瀬の可愛らしさが物語を暗いものになるのを防いでいます。そのバランスが絶妙ですね。これどっちかに比重がかかると、面白くなくなっていますよ、絶対。

仁の欲望には忠実で、でもしっかり理性ももっているところが好感を持てます。年相応な綾瀬の胸に惹かれ、でもシルヴィアのロリにも惹かれるという…どちらもその気なれば、すぐに手に入れられる状況。仁の本命はシルヴィアで、彼女が妙齢の女性の容姿になる(あるいは変身できる)ようになるまでは「手を出さない」と誓っているようですが、しっかり今の容姿のシルヴィアと一つになるところを想像してしまうあたりは…

1巻で完結しているようにも見える物語ですが、仁の戦いはまったく、完結していません。今後どのように展開していくのでしょうか? そして他作品との邂逅はあるのでしょうか?

★★★☆
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2015年12月04日

ワールド・ティーチャー 異世界式教育エージェント(1)


著者:ネコ光一
出版社:オーバーラップ文庫
ワールド・ティーチャー 異世界式教育エージェント(1)

もとは、Web連載小説だったようですね。それを商業用に加筆修正されたもの。ついでに番外編も足しましたという形態です。別にWeb連載知らなくても、話についていけないということはまったくないので、そこはいいですね。

主人公・シリウスは、かつて世界最強のエージェントだったものの、仲間のために生命を落とし、なぜか異世界に0歳(新生児)として転生します。もとの世界では70歳くらいであったため、人生経験は豊富。しかも修羅場を抜けてきた能力もある。その記憶をすべて持って、新生児として転生しています。

とはいえ、肉体的な器は新生児のものであったため、時間をかけて(といっても8年ほど)超人的な能力を取得していくというお話になっています。さらに異世界では魔法も存在しているため、そちらも取得するという……

まず「70歳の知識を持った少年」を受け入れられるかどうかで、印象が大きく変わります。私は無理だった……単に70のおっさんが、子供のフリしているだけにしか見えない。周りにも同じような年齢の登場人物を配しているので、余計に異物感が際立ってしまっています。本来知識とそれを「利用する」というのは別の能力だと思うのですが、同列に扱ってしまっているので「生身の人間」というよりロボットのように見えてくるのです。シリウスの思考が客観的すぎるため、読み手もシリウスに感情移入出来ないのです。

さらに「ティーチャー」といいながら、先生的な部分がまったくない(こちらは続刊で学校が出てくるようですが) 拳で語り合い、異性は落とすというハーレム構造。これは、先生ではないだろうと……

一番違和感があったのは、冒頭の前世ですね。この時点では肉体と年齢が一致していたはずですが、すでに肉体と精神は別物になっていて、どこか第三者的な描かれ方です。一見かっこいいのですが、最後にビル爆破するんだったら、最初からそれでいいんじゃね? と思ってしまいますし、書き込みが甘く感じます。

続刊出るようですが、ちょっと手を出すのは無理かな…(Web連載のほうも少し読んでみたのですが、その感が強いです)

★☆
タグ:異能 ★☆
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2015年12月03日

コンプリート・ノービス(5) 魂の革新


田尾典丈
著者:田尾典丈
出版社:富士見ファンタジア文庫
コンプリート・ノービス(5) 魂の革新

最終巻です。前巻でクライマックスへ向かう流れだったので、違和感はないですね。
デジタルイミグラント法案成立のための実験施設にされてしまったアストラル・イノベーター。イチノたちは、八咫烏にどのように立ち向かっていくのか?

今回は、前回からソウルインしたまま話が進んでいきます。さらに全員がソウルアウト出来なくなるというイベントもあるので、日常パートはほぼなし。そのため、日常ラブコメは皆無に等しい状況です。当初は、比較的明るい日常パートがメインで、重い部分は味付けといったバランスだったのが、最後は重い部分がメインになってしまい、少々胃もたれ気味。田尾さんの作品全体の特徴なのかも知れませんね。

今回、なんとかして「ラブコメ」の明るい部分を見せようとした形跡はいくつもあります。しかし、メインストーリーの重さに完全に押しつぶされてしまっています。もう少し冊数を伸ばして、薄くしたらサイドストーリーも生きてきたのかな? ヒロインたちとの関係性も最後まで描き切れていなくて消化不良です。

ただしバトルシーンは、今まで一番面白かったですね。イチノがレベル1のままでいられる理由もようやく分かりましたし。もっともその分、なぜチュートリアルダンジョンに高レベルの人が入れたのか? など新たな疑問も発生しましたが…

ラストシーンは、まあ納得かな。

★★★
posted by あにあむ at 16:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジア文庫