2015年10月26日

りゅうおうのおしごと!


著者:白鳥士郎
出版社:GA文庫
りゅうおうのおしごと!

主人公は、16歳にして「竜王」タイトルを保持している九頭竜八一。師匠との公開対決で、恩返しに成功したものの、師匠が壊れとんでもないことになり、その後始末でヘトヘトのまま自宅に帰ると……JSがいた……
「やくそくどおり、弟子にしてもいにきました!」
押しかけ弟子は、小学三年生の雛鶴あい。きゅうさい。正直そんな約束覚えていなかったものの、来てしまったものは仕方がない。16歳の竜王が9歳の内弟子を育てていく物語です。

冒頭部分は、どうしようもないクズだけど、将棋シーンは熱いものがあります。日本のプロ棋士や奨励会などの説明が入るため、若干蘊蓄が入っていますが「のうりん」の時にあった「知識ひけらかし」がなくなっていますね。必要な情報だけを読者にわかりやすく説明してくださっているので、将棋をまったく知らない人でも、十分に楽しめる作品になっています。もちろん、ラノベなので、かなり誇張した表現が多いのでしょうが……

この作品のメインヒロイン・あいがいいですね。老舗旅館のお嬢様ということで、礼儀作法が身についているので、年長者に気に入られやすい。でも将棋に対しての情熱は人一倍。さらに年相応の可愛らしさも残しており…八一に対しては、将棋の師匠というだけでなく「お兄ちゃん」として淡い憧れがあるようで、八一の姉弟子(幼なじみ)である銀子に対して「おばさん」や「だらぶち」だの黒い言葉を発しているので、かなり対抗意識がありそうです。そう考えると、八一の前で裸ん坊でも平気なのは、幼さ故の無邪気さではなく、計算ずくなのか? そう考えると少々怖いですね。

メインヒロインがJSということで、他にもJSがでてきております。あいを中心として結成された研究会(将棋の勉強会)につきそうになった「JS研」は、犯罪集団としか思えない名称ですね。

ストーリーは、プロ棋士として、また竜王として「恥ずかしい将棋はとれない」という観念にとらわれ、将棋の本質を忘れ、連敗街道を突き進んでいた八一が、あいや銀子の「勝ち」に拘る将棋を見て、忘れていた将棋への情熱を取り返していくという物語になっています。そう、ヒロインの成長物語ではなく主人公の成長物語なんですね。

ツンツンした銀子がいつデレるのか? ラブコメとしても今後が楽しみですね。

★★★★
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聖剣士VSブラック企業


著者:弘前龍
出版社:電撃文庫
聖剣士VSブラック企業 〜ラノベ作家、社畜エルフを救う!?〜

内輪ネタ作品ですね。現代日本をエルフの国「ヤーパン」に置きかえ、ファンタジー色を持たせて、ブラック企業を断罪していくというお話。主人公は、表向きは人気ラノベ作家、裏では聖剣を用いて、ブラック企業を断罪する聖剣士。いくつかのブラック業界がネタになっています。

最初は、高級羽毛布団の訪問販売会社。そこで働いているエルフがヒロインになっています。そこでは、成績が上げられないと、朝礼で上司よりお仕置き(魔法によって殺される)が、ふらふらになって帰社すると(23時頃)翌日までに資料を作成しておけという上司からの伝言が……ま、現実にもありそうで、なさそうな企業が舞台です。で、主人公が社長を断罪(剣でぶった切る)という流れ。以降ラノベ編集部での新人賞下読み、牛丼ならぬミノ丼チェーンでのワンオペ、トラック業界などが舞台となり、主人公がぶった切っていくというパターン化された流れになっています。確かにどこも典型的なブラック企業ということになっていますが、どうも一方的な見方をしているような気もします。

現実世界ではなく、ヤーパンを舞台としているのは、関係者への配慮もあるのでしょうが、殺す→生き返る→心だけが浄化されるという流れを正当化するという目的のほうが強そうです。

パターン化されてしまっていること。ブラック企業だらけという世界観が成り立たないのでは? という疑問が残ること。ラノベ編集部の事例だけ上司の描写が長いこと。いろいろ考えていくと、出来のよくない「内輪ネタ」ですね。続きがあるのかも知れませんが、もういいや。

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2015年10月21日

たとえばラブとカミサマーデイズ。


著者:ハセガワケイスケ
出版社:電撃文庫
たとえばラブとカミサマーデイズ。

主人公は、2人。視点がランダムに2人の間をいったりきたりするので、非常に読むづらい作品です。十年前に突然いなくなった幼なじみ・統原小春子。そのコハルコがある日突然「神様」になって帰ってきた。そんな突拍子もない話です。
主人公のうち、一人はコハルコにくっついて回っていた少年。もう一人はコハルコの妹となっています。本来であれば、当然二人も幼なじみなのですが、なぜかその時代の記憶が曖昧な少年のせいで、関係性は薄かったようです。

で、カミサマとして現れたコハルコとともに、世界を壊すという話なんですが、もうなにがいいたいのかさっぱり分かりません。さらにネットで話題になったようですが「いう」を「ゆう」と表記しているのもすごく気になります。

ごめんなさい。感想かけないや。こういうの「ポップ」っていうのかな? とりあえず私にはまったく理解できませんでした。

ちなみに、公式あらすじ
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カノジョは、『神さま』になって帰ってきた。
初恋をしてた、あの時の姿のままで。

キミとオレのワールドエンド。
これはつまりそういう話だ。
十年前、流れ星と共に消えたカノジョは、オレの前に『神さま』になって帰ってきた。どんな願いも叶えてくれる、とびっきりの美少女として。オレの退屈で怠惰なスクールライフが、神さま少女・統原小春子の手でポップに彩られていく。早すぎる夏の初雪、映研での想い出づくり、二人きりの天体観測――。
そして再びの『流れ星』。そこでオレは、カノジョの『真実』に気づく。キミとオレのワールドエンド。これはつまり、そういう話だ。
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どういう話か理解できないでしょ?

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2015年10月20日

異世界混浴物語(2) 熱情の砂風呂


著者:日々花長春
出版社:オーバーラップ文庫
異世界混浴物語(2) 熱情の砂風呂

異世界に召喚された勇者・北條冬夜の進化が止まらない。一巻では、かけだし勇者だった冬夜が、どんどん勇者らしくなってきています。それ故、クレナやロニからの好感度が上がってきています。それがこの作品の一番の見所かな? しかし相変わらず
「皆で仲良く混浴するんだ!」「……なに言ってんのよ、あんたは」
と冬夜らしさも捨てていませんがf(^_^)

冬夜の「ギフト(能力)」により生み出される「無限バスルーム」一巻では「お湯」ではなく、水を無限に出し続けられる特性を生かして、ムラを救った冬夜。冒険に出てからも、ほぼ常時バスルームを顕現させておくことにより、常時魔法を使い続けているのと同義になり、冬夜のMP値はとてつもないのびを示すことになります。すでに伝説級の勇者になっているようです。

さらに、無限バスルーム自体も成長しており、脱衣場や湯船が大きくなったり、什器が新しいものに変わったあり…なんとなく無限バスルームの行き着く先は見えてきたかも。ということは、ラストシーンも読めてしまったかな。

若干イロモノ的な導入でしたが(今でもそうか)、案外面白い話になってきています。「混浴」をメインに据えなかったことが、勝因でしょうね。ストーリー展開の中で「バスルーム」が登場することに無理がないため、スムーズに読み進めることが出来ました。冬夜を中心としたラブコメも、楽しいものになってきています。冒険譚として、またラブコメとして楽しめる良シリーズになってきました。

★★★☆
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2015年10月13日

GJ部ういーくりー


著者:新木伸
出版社:ガガガ文庫
GJ部ういーくりー

すでに完結している(派生作品も)作品ですが、今更ながらのレビュー。実は、そもそもの「GJ部」は未読だったりします。そんな状態で楽しむことが出来るのか……

木造旧校舎の一室にある謎の部活「GJ部」 個性的な女の子たちが集まる謎部に入部してしまった平和的敗北主義者である四ノ宮京夜が主人公。今回の作品は、読売中高生新聞に連載された4コマ小説に描き下ろしコミックを掲載した「お買い得品」だそうです。

基本的には、本編にあったエピソードの補完になっているようですが、内容的に本編を知らなくても、十分に独特の世界観に入っていけます。前半のお話で、女性陣の説明がなされているので、キャラ迷子になる心配もなし。

なんせ四コマ小説と銘打たれるだけあって、ゆるふわなお話となっています。美少女たちに囲まれて、京夜がふわふわと平和的敗北主義を貫く、そんなお話です。

わずか4ページでも、起承転結を明確にして、キャラクターをしっかりさせれば「話」として十分成立するといういい例ですね。この長さ(短さ)だと、無駄な装飾がなくなり、読みやすいというメリットがあります。出勤時の電車移動など、長時間連続して時間がとれない時に便利ですね。ということで、元シリーズも今更ながら全巻そろえてみようかと。もしかしたら、出版社の思惑にまんまとはまったのかも知れません。

しかし、こたつさまが入ってからGJ部での京夜、うらやましいぞ。ちびっ娘(小三に見える)とはいえ、美少女な部長を膝の上にのせて、おいしい紅茶を美少女な後輩に入れてもらうなんて……さらに、部長が卒業後、「部長」と声をかけても返事をせず名前を呼ばせるのも、うーん青春。

★★★☆
posted by あにあむ at 14:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫

姉と妹の下着事情。


著者:柚本悠斗
出版社:GA文庫
姉と妹の下着事情。

姉=かのじょ、妹=カノジョと読ませるようです。GA文庫大賞「奨励賞」受賞作品です。主人公は、女性の胸を愛し、下着作りに青春を捧げる高校生・創真彰人。彰人はある日突然、生徒会長である服部振袖から、彼女の妹である羽織との婚約を勧められる…というか強制されます。羽織は、彰人憧れの「胸」の持ち主であったこともあり、勢いで承諾してしまうのですが、後日服部姉妹の三女である七緒と出会い、彼女こそが「理想の胸」の持ち主であることに気がつき……。

服部三姉妹は、それぞれ仲があまりよくないようで、それが故起こる混乱に主人公は流されていきます。もっとも、彰人自体がかなり「変態」なので、まあ当然とも言えるのですが…。女の子に恋をしたことはないのに、胸には恋をしている。だから胸を触りたいというのも、純粋に理想のブラジャーを作るため……ではなく、そこには思春期男子のリピドーもあるという、どうしようもなさ。ただ、唯一の利点は、ブラジャー愛が本気であるということ。また触っただけで、サイズを寸分の狂いもなく当てるという能力を持っています(本人曰く、思春期男子なら誰でも出来るってことですが、んなことはありません)これって、どこかで聞いたような設定ですね。

ヒロインズは、長女・振袖は厳しい生徒会長、二女・羽織は物腰柔らか、三女・七緒は活発腹黒と別れております。七緒は、姉たちとの間に確執を持っているようで、それ故腹黒に見えますが、実は三人の中で一番まっすぐなのかもしれません。彰人は、そんな七緒の本質を見抜き、自分と同じように夢を追う彼女を応援しようとします。変態だけれども、見るべきところは見ているようですね。

この作品にも「かわいそうな」幼なじみは登場しております。というか、幼なじみ枠よりさらに下の「飼い犬」枠といってもいいかも。どうも小柄な美少女のようですが、胸は残念な状態。それ故、彰人には「恋愛対象」としてみてもらえず、妹として…でもなく、飼い犬と認識されているような……なので、愛称は「ポメ子」もう途中から、本当に子犬がじゃれているようにしか見えないという驚愕の事実。本人も今の立ち位置を受け入れているようなので、まあいいか。

一番の問題児は羽織なのかも。そこはかとなくヤンデレ化しそうな雰囲気が漂っています。さてさて続編ではどうなるのでしょう?

★★★
posted by あにあむ at 13:39| Comment(0) | TrackBack(0) | GA文庫

2015年10月07日

碓氷と彼女とロクサンの。


著者:阿羅本景
出版社:ファミ通文庫
碓氷と彼女とロクサンの。

主人公は、志賀真。見た目は女顔な男子高校生。幼なじみである治男が、幼稚園の時に真を女の子と間違って、惚れてしまったというくらい美少女顔。でも姉の葵は、真を「真の男」として成長させようとします。

そんな真がある日、浅間夏綺と出会います。楽しそうに鉄道の魅力を語る彼女は、碓氷観光開発コンソーシアム・女子学生鉄道プロジェクト・通称しぇるぱ部で、ロクサンを女子高校生だけで運行して碓氷峠を走らせようという計画を説明します。真はこの壮大なプロジェクトに参加することになって…しかも女装して!

いろんなところに鉄(それも機関車)への愛が散りばめられた作品になっています。とはいえ、メインは夏綺たちの青春ドラマとなっているので、鉄道知識がさほどなくとも、十分に楽しめる作品になっています。少しずつ夏綺に惹かれていく真。そんな真に惹かれるしぇるぱ部のメンバーたち。女装という変化球はあるものの、夢に対してまっすぐ走り続ける真が気持ちいいですね。

真の姉である葵が、あまりにも鮮烈すぎて、疲れました。もう少し真のことを考えてあげることは出来なかったのかな? という思いが強くなります。個性を付けようとして、暴走したという感じですね。

しかし、碓氷峠の路線が廃止になってから結構経つんですね。つい最近のことと思っていたのですが、リアルタイムでも廃止後に生まれた子供が高校生になっているんだ…

★★★☆
posted by あにあむ at 17:05| Comment(0) | TrackBack(1) | ファミ通文庫

2015年10月02日

妹さえいればいい。(2)


著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(2)

妹バカラノベ作家・羽島伊月は「妹法大戦」の最終巻の執筆に苦しんでいました。気分転換のために、大学時代の友人・京たちとボードゲームをしたり、混浴温泉に入ったり、お月見をしたり、担当編集への言い訳メールを考えたりと、現実逃避しながらもなんとか頑張って作品を完成させていきます。悩みを抱えるのは伊月だけでなく、青春三冠王・白川京も、美少女作家・可児那由多も、ラノベ作家・不破春斗も、それぞれの悩みを抱えながら日常を過ごしています。恋模様もややこしいことになってきているようで……ビッチのように見せかけて実は純情処女の京。激しい愛情表現をするものの、実はおこちゃまな那由多。そこに春斗も巻き込まれてきて……

前回同様、ラノベ作家の「極端な」裏側も語られております。那由多は「全裸」でないと小説が書けない(少なくとも、ぱんつを脱がないと無理)とか…これって、どこかの小学生ラノベ作家がそういう登場をした作品があったような…

今回は、アニメ化の悲哀が描かれております。一生懸命創り上げた作品が「大人の事情」によって、どうしようもないアニメになってしまった…でも、作品に関係する人たちは、個々に見ると、皆夢に向かって必死であることには変わりはない… そういえば「アニメ作品と自分の作品はまったく別物だ」といった作家もいましたね。この作品では、私のような感想書きへの非難めいた表現も多いですね。まあそれはそうか……でも、エンターティメント作品は「評価がすべて」というのも事実です。だから辛い世界ですねえ。自らの書きたいものを書くのか、それとも受けを狙うのか? 難しい選択です。

今回、人外の妹が登場する作品のプロットが語られます。普通の人は「アウト」な作品ですが、伊月にとっては「ギリギリセーフ」……この人の妹Loveはどこへ向かっているのでしょうね。那由多も伊月を「おにいちゃん」と呼べば、あっさり伊月は陥落するんではないかい? ま、伊月たちが気がついていないだけで、身近にリアル「妹」がいるんですけどね…(作者さん、もう隠す気ないだろう)

次巻も楽しみですね。

★★★★
posted by あにあむ at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫

2015年10月01日

妄想少女は魔法を使えない


著者:櫻木れが
出版社:一迅社文庫
妄想少女は魔法を使えない

小学校時代から中二病をこじらせ完治しないまま「最強の武器や防具、されにキャラクター」を妄想し、ノートに記録している高校一年生・雛河瑤が主人公。
そんな彼の前に現れたのは、魔女が造った三十二体の魔物を、その身体に封じる宿命を負った美少女・似鳥芽依。戦いに巻き込まれてしまい、いきなり魔物に喰われてしまった瑤は、芽依の力により、失った肉体を補填されるとともに、妄想を現実に顕現させる力を右手に宿すことになります。まさに中二病な世界に、飛び込んでいく瑤。

完全に中二病な世界となっています。瑤は、もともと右手に包帯を巻いて生活しているような人間。そんな彼が、このような事象に出くわせば当然喜んで参加していきますよね。でも、現実は甘いものではなく……

中二病な世界観がお好きなら、ついていけるのかも知れませんね。文章自体はすごく読みやすい作品になっています。でも、瑤の行動原理が今ひとつ理解出来ません。それと、芽依はとこかく瑤が中二病な能力をあっさり使えてしまっているところがよくわからない。こういった世界の「お約束」を理解していないと、入っていけないのかも知れません。

★★☆
タグ:異能 ★★☆
posted by あにあむ at 14:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 一迅社文庫