2017年11月21日

ワキヤくんの主役理論


著者:涼暮皐
出版社:MF文庫
ワキヤくんの主役理論

主人公は、青春を最大限に楽しむためのメソッド「主役理論」を掲げる・我喜屋未那。ようやく勝ち取った一人暮らし。アパートの隣に住む少女・友利叶も一人暮らしで、クラスメイトでバイト先も趣味嗜好もすべてが同じ……違うのは、真逆の「脇役哲学」を掲げていること。そんな叶と壁越しに口げんかを続け、同時に部屋の壁を蹴破ってしまいます。当然大家さんに叱られると思ったら、なぜかまったく怒られず、気がついたらそのまま実質同棲することに…二人に甘い青春はなく「これは戦争だ」と同時に考えていた。
「そっちこそ、煩わしい人間関係に嫌気が差したら、いつでも頼ってくれていいよ」
俺の《主役理論》と叶の《脇役哲学》、どちらが正しいかこの同棲で白黒つけようか!

……端から見ていると、二人が目指しているのは「全く同じ」ことなんですよね。気が合うどころのレベルじゃない二人。趣味だけでなく、生活リズムや口にせずとも細かいニュアンスもわかり合えるという、もう新婚を通り越して、長年連れ添ってきた仲良し夫婦な状態。あまりにも一致しているが故の、すれ違い。でも二人は最初から気づいていたようですね。二人は男と女であり、しかも恋人以上に気が合うということに。というか、そうでなければ、実質同棲を選ぶはずがない。食事も一緒にしているし、家事も分担してという状況ですからねえ。

二人が主張するメソッドも、端から見ていると同じことを、鏡写しに見ているようなものです。誰もが自分の人生では主人公だし、誰かの人生では脇役。それをどちらから見るかなんですよね。

この作品最大の「謎」は、我喜屋くんの旧友。性別すら明らかにされていませんが、重要な局面で適切なアドバイスを電話でしてくれます。そもそも主役理論を一緒に構築したようですし、かなり重要な存在のようです。その割に電話での登場しかないですし。もう熟年夫婦な二人に、大きな影響を与えていく存在で、もしかしたら爆弾になるかもしれないですね。

★★★★
posted by あにあむ at 11:12| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫

妹さえいればいい。(7)


著者:平坂読
出版社:ガガガ文庫
妹さえいればいい。(7)

前巻で、動き出した人間関係。那由多が過労で倒れたことで、さらに動きます。それまで「那由多と並べる実力をつけてから」と自制していた伊月が、ついに那由多と結ばれます。でもそこはこの作品。超肉食系な那由多に、最後の一滴まで搾り取られる伊月。若干、トラウマになったりして…いずれにしてもリア充真っ盛りな二人なんですけどね。そんな二人のラブラブ光線に、羽島千尋、白川京、不破春斗は当然影響を受けます。千尋は「自分は二人の邪魔になってしまうのではないか?」と落ち込み、京は二人の姿に涙し、春斗は? って春斗と京があっさりひっつくのかなと思っていたのですが、物語は単純にいかないようですね。春斗に熱心なアプローチをかける、新人作家(巨乳)の相生初が現れます。一途なアプローチに春斗の心は揺れ動くことに。ってこのままいくと京が一番不幸になってしまいそうですね。まあ千尋も十分不幸なんですが。

今回新人時代の伊月も登場しています。彼らがなぜ、ここまで大人な対応をしているのかという理由の一部が見えてきました。私自身もネットで感想を公開しているので、いろいろ考えさせられる話ですね。私のつたない文章を作者自身が見られることはないと思いますが、結構けなしていますからねえ。ただ一つだけ守っているのは「購入して、少しでも読んだ作品の感想しか書かない」ということです。他人の感想だけでdisるのは違うのかなと。作者の思いの数%しか読み取れなかった作品も多々あるのでしょうが、それでも「自分の感想」という最低限は守ろうとしています。ネット上に数多ある感想にまったく影響を受けていないといえば嘘ですが、自分の感性で置き換えるようにしています。そのため、世間評価とまったく違う評価になることもありますが、そこは「意見には個人差があります」ということで。

この作品、登場人物がみな大人です。いろいろな経験を糧にして、成長した人たちばかりです。だから面白いんでしょうね。

★★★☆
posted by あにあむ at 10:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫

2017年11月10日

底辺剣士は神獣<むすめ>と暮らす(3)


番棚葵
著者:番棚葵
出版社:MF文庫
底辺剣士は神獣<むすめ>と暮らす(3) 家族で始めるペット飼育

少しずつ成長してきた神獣=娘たち。アードはますますお父さん化してきています。ただそのむすめ3人を引き取るための試練の達成額は遠いまま。期限がどんどん近づいてきて、このままだと達成が難しい状況になってきます。いままでのように地下50階までで宝を探しても達成は不可能。そこで多くの財宝が眠っているものの、帰ってきた人がほとんどいない危険階層に挑むことを決意します。そこには多くの宝が眠っていたものの、魔獣の力は想像以上。元素竜3匹を瞬殺する能力をもったむすめたちですら苦戦。そのため、即座に逃げ帰れる手段が必要なのですが、アイテムは使い捨てで、かつ手に入らないもの。そんな時、危険階層で彼らは、モフモフ丸っこい、子犬のような獣を拾います。それは、幻獣サイファーの子ども。彼女たちはピコと名付け、家で育てることにします。このピコの能力がすごく…

試練の期限が迫ってきて、焦るアード。でも「なんとかなるよ」という緩い空気が流れているのも事実だったりします。アード自身が能力が高いので「最後は自分が頑張れば」と思っているというのもあるのでしょうね。なので、危険階層での冒険が主体という訳ではなく、従来通り日常が描かれています。お祭りでの合唱コンクールやら、美女コンテストといった軽いネタも織り込まれ、むすめたちの愛らしさと、リウナの強運が発揮されています。

今回「むすめたちを研究用に譲ってくれ」という怪しい男が登場します。前半ではかなり、嫌な感じなのですが、それも一瞬のみ。後半からは憎めないやられ役に成り下がってしまいます。というか、この作品には完全な悪というのが、今まで登場していなかったんですよね。今回最後の敵が初めてじゃないでしょうか?

まったりとした流れが続いています。リウナはいまだに恋愛に関してのみ、不幸なまま。アードは、リウナのことがわかっていると思い込んでいるところがつらいですよね。っていうか、もう直接行動するしかないのでは?

今回一段落した感があります。続編はあるのかなあ?

★★★
posted by あにあむ at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫