2018年04月23日

ラブノート


著者:藤井論理
出版社:スニーカー文庫
ラブノート 俺だけが知っているヒロインルートの攻略法

高校デビューに失敗し、中学までの負け組からも勝ち組からも見捨てられ、中間モブに堕ちてしまった光成が主人公。一緒に高校デビューを目指した佐藤洋一は、成功したのに…
そんな非モテ光成に、突如モテ期が訪れます。
『急に積極的になる幼なじみ』
『登校中、金髪の転校生と激突』
『図書室で美少女に手を握られる』
もうラブコメ主人公一直線のイベントが立て続け…というより、ネット小説「ラブノート」のあらすじ通りの展開。戸惑う光成を置いてけぼりにして、どんどんラブノートは更新され、ヒロインたちに振り回されることに。しかもそのラブコメ展開は、ちょっとズレており…

冒頭で出てきた佐藤くんは、途中から見事に忘れ去られています。というか、最初からそんな存在いらなかったくらい、ストーリーに影響を与えていません。メインヒロインは、天真爛漫な幼なじみ・柚葉。毎朝、朝食を作ってくれ、その味は絶品。母親からは「やったか?」と言われるくらい馴染んでいます。でも、鉄板であるはずの「朝起こしに来る」というイベントはなぜか発生しない。さらにパンを手のひらにのせた、金髪美少女転校生・初乃と出会い頭にぶつかり、ぱんつとご対面。ビンタされることもなく、なぜかぱんつの感想を言わされる光成。図書室で本をとろうとしたら、美少女・柊と手が触れた…ではなく手を握られ、なぜか手相チェックされ、エロ話へ…少しずつずれたイベントに戸惑っていると、今度は小動物美少女・五花から校舎裏に呼び出され、ラブノートの著者は、世界樹に影響を与える書き手で、暴走すると世界が壊れると告げられます。だから、誰かとこれ以上仲良くなることを避けるようにと…しかし、ラブノートは、どんどん更新され、五花自身もその影響を受けるように…ラブノートの著者が3人のうちの誰かを探る五花と光成。

前半は、突っ込み満載のハイテンションラブコメになっています。ヒロインそれぞれに特徴があり、面白い作品です。ただ、五花と柚葉以外の二人の性格がよくわからないのが残念。後半のための伏線だったのかもしれませんが、うまく機能しているとは思えません。それが勢いを削いでしまっているのも事実。

後半は、一瞬シリアスになります。これもいらないかなあ。それまでのハイテンションコメディが、沈滞してしまっています。しかもラストは、またハイテンションに戻っているので、どうせなら、そのまま突っ走って欲しかったですね。

とはいえ、王道ラブコメとして面白い作品でした。あ、そうそう「ラブノート」から想像される「○○ノート」とは、まったく関係のない作品です。

★★★☆
posted by あにあむ at 11:45| Comment(0) | TrackBack(0) | スニーカー文庫

2018年04月19日

中古でも恋がしたい!(11)


著者:田尾典丈
出版社:GA文庫
中古でも恋がしたい!(11)

前巻読んでから、結構(半年以上)経っていたようです。
しばらく続いた修学旅行が終わり、家に戻った清一を待っていたのは、聖美お手製バレンタインチョコによる、過激な試食テロ。一口食べたら、意識が深淵の世界に堕ちていくというシロモノ。清一だけでなく、まわりの人間も巻き込まれることに…そのため「仲直りしろ。可及的速やかに!」と古都子たちに迫られることになります。そして関係改善の協力を約束されるのですが、相手はあの聖美。一筋縄でいくはずもなく。

ということで、今回は聖美回になっています。が、正直この妹、好きになれないんだよなあ。小説ですし、文章にない部分は想像するしかないのですが、いままでの描かれ方からすると、性格が極限まで悪い奴としか認識できないんです。仲がいいとか悪いとかといったことが、どうでもよくなるレベルでの罵り。人を人と思わない扱い。それでいて、他の人に見せる笑顔。もう存在自体がウザイとしかいいようのない人物。そんな聖美が中心となると…やっぱりウザかったです。なんで仲直りする必要があるんだ? という感想しか出てこない。最後まで読んでも、そんな感想しか持てなかった。11巻まで来て、初登場時の印象が変わっていないというのは、ある意味すごいですけどね。それ以外のヒロインは、かなり変わりましたからねえ。あのいけ好かないアコですら、少しはマシになっているんだし。

しかし、清一のモテようは、なんなんでしょう? 本来聖美の本心を探ることが目的だったはずなのに、イブ、古都子、優佳のいずれも清一を誘惑しようとしていて…どの子でもあっさり攻略できそうな状況が続いています。

今回も結末というには弱い状況。まだしばらく続きそうです。古都子・優佳・イブの3人(+聖美)だけがヒロインとして回るという、最近珍しい少数精鋭型。今後もヒロインは増えずに、このメンバーで着地点を探っていくのでしょうね。タイトルを大切にするのであれば、もう一度古都子に問題が発生するというのが、本命でしょうね。あ、大穴で才谷がヒロイン枠に進出ってのもあるかも。一応一番わかりやすく男女を判別することができる、例のブツは観測されていないので、現状「シュレディンガーのネコ」状態。そう、男性である確率は50%なんですよね。…まあ世界観からいって、それはないと思うんだけどなあ。あと、才谷は本当に男性だったけど、清一が選んだのは…という腐った展開。まあそれは腐った二次創作にまかせておきましょう。

★★☆
posted by あにあむ at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | GA文庫

2018年04月17日

無病息災な異世界ライフ


著者:大保志雄二
出版社:ダッシュエックス文庫
無病息災な異世界ライフ 〜研修医は現代医学でゆるっと治す〜

主人公は、研修医として日々疲れきっていた青年。ある日意識を失い、目が覚めた場所は、エルフの家だった。さらに年齢も若くなっていた。ということで、よくある異世界転生ものです。
転生した時にいた家には、エルフの少女・コリスが一人で住んでおり、鼻声・赤くなった頬、うるんだ瞳と実世界の人間に当てはめると、風邪と思われる症状でフラフラしていました。この世界での風邪の対処法は「時間が解決するさ」というもの。そこで、ルクトは医学知識を生かして、彼女の看病をします。今までの常識と違うルクトの言葉に興味を持つコリス。行き場のないルクトは、そのままコリスの家に住むことになります。ここまでは、うまく現代医学とフォンタジー世界をつないだなあと感心しており、ルクトとコリスの会話もテンポよくおもしろい作品だと期待ができる導入部でした。

その後、低血糖で倒れてしまったドワーフの少女や、起立性貧血のヴァンパイアの少女などを、現代以外知識で治療していきます。このあたりから、少し疑問が出てきます。ルクトは、異種族の彼女たちに対して、なんの迷いもなく(ロクな診察もせず)人間(それも日本人を中心とした)向けの治療・投薬を行っています。風邪で汗を拭くという行為はまあ種族が違っても人間型ならそうかな? と思えますし、低血糖で砂糖を食べさせるというのも、もともとこの世界に砂糖があったようなので、もし違っても大きな失敗にはならないかもしれない。でも鉄剤を投与するってのは、どうなんだろう? 種族が違えば、血液成分も違うかもしれない。そんなことも確かめずに鉄剤を投与するっては…そうなんです。この物語で最初に疑問になってくるのが「生態もわからず、検査もしない状況でよく投薬できるな」という一点。素人ならともかく、医療従事者だったら怖くてなかなかできないと思うんですけどね。目の前で倒れているから…というのは、現代社会では、ある程度対処法が確立しているから。そういう意味では、一番最後の症例が一番納得できないんですけどね。もう一つ疑問に思ったのが、ルクトがコリスと一緒に住むことになった際、一緒に市場に買い物に行き外食したときのエピソード。コリスの財布がカラになり、外食先で「きれいな」飾りがなくなっていた…つまりお金がなく装飾品を売り払ったということなんですが、このエピソードを見ると、コリスは裕福ではない模様。でも、以降のエピソードでは、お金に関する話題は一切出てきません。そもそもコリスがお金持っていなかったことに気がついても、ルクトはなにもせず寄生していたのかな?

ストーリー展開や会話劇は非常に面白いので、症例はあまりややこしいものにせず、かついろんな矛盾を解消していってもらいたいですね。もう少し楽しみにしていこうと思います。

★★★
posted by あにあむ at 13:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ダッシュエックス文庫