2017年07月21日

てのひら開拓村で異世界建国記


著者:星崎崑
出版社:MF文庫
てのひら開拓村で異世界建国記 〜増えてく嫁たちとのんびり無人島ライフ〜

異世界に転生した少年・カイは、邪神に呪われており(祝福とも言える)12歳の時点で行われる儀式(神様の祝福を受けた子供の能力を解放する)で、異端児として魔物だらけの孤島に捨てられてしまう。魔物に襲われ絶体絶命となった時、なぜか島に住んでいる少女・アビスにに助けられます。カイはアビスと共に暮らしていくことにします。またカイは、邪神の祝福により「てのひら開拓村」というスキルを持っていて、箱庭内の村(外部世界からは、スキル保持者とゲストしか入れない)で自由に開拓をしていくことができます。そちらの世界で育った食物や水をこちらの世界に持ち込み、それで生活をするというスタイルになります。

ということで、状況の割にのほほんとした日常系小説です。カイのスキルによって創られる「てのひら開拓村」には、アシスタントがいて(食いしん坊エルフ)、基本彼女が村の面倒をみてくれます。カイが村に持ち込んだもの(種や動物など)に影響され、村が発展していくという仕組みであり、まあ箱庭型ですね。最初はアビスと二人で無人島で暮らしているのですが、1年後にカイ同様邪神の呪いを受けた少女が流されてきます。彼女を助けたことにより、嫁が一人増え…さらにもう一人少女を助け嫁にし、さらに亡国の姫と女騎士(あ、クッ殺言わなかった)も助け、こちらも嫁にし…どんどん嫁が増えていき、さらにはなぜか国を作ることになって…

全体にのんびりしたイメージを作りたいんだろうなというのが、文章からは読み取れます。でも日常系を続けるだけの、テクニックが不足しているのか、ストーリーが劇的に進みすぎ。さらに中途半端な設定が後々矛盾を生んでおり…(女騎士の首輪設定どうなった? 主人が決まれば、感情を殺してしまう機能があったんじゃないのか?)おもしろいんだけど、もう少しって感じですね。

この作品の最大の問題は、日常系の別作家の別シリーズそっくりなところ。絵師さんが同じなので、雰囲気が似ている(特にエルフなど)のは仕方がないんですが、登場人物の性格や、ところどころに出てくる文体、さらに章間のイラストに記載される内容…すべてが似ているんですよねえ。一瞬二次創作を読んでいるのかと思うところも…

もう少し、独自色が欲しいですね。今更登場人物の口調などを変えることはできないでしょうが、他になにかプラスしてもらえたら、楽しくなりそうです。今のままだと、飽きてしまうかな。やっぱり本家にはなかなか勝てないでしょうし。

★★
posted by あにあむ at 11:29| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫

底辺剣士は神獣<むすめ>と暮らす(2)


著者:番棚葵
出版社:MF文庫
底辺剣士は神獣<むすめ>と暮らす(2) 家族で過ごす冒険者学院

チートな神獣娘たちの助けもあって、強敵を打ち倒し、街の英雄となったアード一家ですが、有名になったがためアルバイトができず家計がピンチに! そんな時アードに「冒険者学院」の臨時教師をやらないかという話が持ちかけられます。最初は、娘達と離れることになるので、と断ったアードでしたが、その娘達も臨時生徒として同じ学院に通うという条件で、低学年クラスを受け持つことになります。しかし、すぐにアードが低レベル英雄であることがばれ、生徒達からの信用はなくなってしまい… それでも娘達の教育、なにより友達を作ってやるために、頑張るアード。

今回は、ダンジョンではなく、学校が舞台となっています。大人とは違い、すぐに分かるレベルという数値に惑わされる子供達。さらに校長(英雄)の妹・キスカは、本来であれば姉が受けるはずだった賞賛をアードが受けたこともあり、アードを受け入れることができません。アードを慕う3人娘も当然受入られず、お互いが反目することに。 そんな四面楚歌な状態でもアードは、自らを飾ることをせず、相手が子供であっても真摯に対応していきます。そんなアードを見て、子供達が少しずつ考えを改めていく成長物語となっています。後半は「異質な者に対する、畏れ」が描かれており、こちらも深いお話になっています。
もちろん、ラブコメもあります。前巻より3人娘も成長しており、自我の芽生えと共に、「大切な人の役に立ちたい」という気持ちも強まってきているようです。「となりの芝は」状態で、人より劣っていると考える娘たち。でもそれをマイナスではなく、プラスに考えさせるのは、アードのうまさでしょうね。劣っているからダメなのではなく、劣っているから、努力して自分の長所を伸ばしていく…「No1にならなくてもいい」と思った瞬間、堕落が始まりますが、そうではないことをうまく説いているなあと。

前回同様リウナは、3人娘の恋敵として、涙目になっていることが多いかわいそうな役割です。端からみれば、リウナとアードはお似合いなんですけどねえ。幼馴染みだからといって、必ず不幸になるというのは、勘弁して欲しいな。

★★★★
posted by あにあむ at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫

2017年07月15日

女神の勇者を倒すゲスな方法(2)


著者:笹木さくま
出版社:ファミ通文庫
女神の勇者を倒すゲスな方法(2) 「おお勇者よ! 返事がない、ただの聖女のようだ」

勇者を撃退し(一名は捕獲。っていうか、恋心射止めた)平和な日々の中、真一は魔族たちと畑作りを進めていた。真一が人間の街で仕入れてきたジャガイモとオリーブオイル。それを用いて、フライドポテトを作り、魔王や娘・リノたちと楽しんでいたとき、魔王を狙って最上級の光魔法「聖光奔流」が放たれます。城ごと壊滅できるほどの攻撃魔法を放ったのは、新たな勇者「聖女」。当然というか魔王にはまったく歯が立たなかったのですが、面倒なことはかわりない。ということで、真一が攻略に乗り出すことに。自分と同じように口説き落とすのかと心配な元勇者・アリアン。しかし、聖女・サンクティーヌは、神官戦士に囲まれ、真一の甘言にまったく耳を貸さない。さてどうする?

ってことで、新たなヒロインを迎えての2巻。前回ヒロインであるアリアンはあまりにもチョロインでしたが、今回のサンクティーヌは、真逆。というか、信念に凝り固まっており、聖女というよりも「お飾り」といった感じを受けます。そんな彼女に対しては、正攻法では無理。というかそもそも真一って、元世界でモテだったわけでもなく、異性を簡単に口説き落とすような技は持っていません(アリアンは勝手に堕ちた)

そんな真一が考えついた方法は、なんと「リノちゃんアイドル化」……想像の斜め上を行く展開になってしまいました。最初は「天の岩戸」的なオチなのかと思ったのですが、まったく違う方向でしたから… でもリノちゃんハイスペックすぎます。いくら魔法の力(一度でも見たり経験した記憶は、すべて探ることができる)を借りているといっても、今まで見たことも聴いたこともないリズムでアイドル曲を歌い踊るだなんて…さらに、その曲をリュートで演奏する吟遊詩人さんもすごいですね。

リノちゃんコンサートは、完全にアイドルコンサートノリ。ちゃっかり親衛隊も構成されており、ヲタ芸・コールも完璧。まったく存在していなかったはずの「親衛隊」を短期間でまとめ上げた、リーダーの能力もすごい。さらにいうと、このリーダーの財力もスゴイ(親衛隊用法被は5万円程度とか暴利過ぎる) 後半でその謎が明かされますが、まあ中盤で読者も気がつくレベルではありましたね。

ネタバレになりますが、サンクティーヌは当然オチます。が、想像していたものとはまったく違いました。そうか、そう来たか!という流れ。このあたり、真一が転生しても、チート能力もらえなかったという設定が生きていますね。面白いや。

今回も細かなギャグがちりばめられています。神官戦士内の尻担当とか、もうね。いろいろ笑う要素が多い。ってリノちゃんが聞くと大変なことばかりですが…

さらにセレスさんがデレる回数が増えてきたような気がします。真一は誰を選ぶのでしょうね?(リノちゃん選んだら、何回殺されるだろう…)

★★★★
posted by あにあむ at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫